力が欲しい

東方を中心に二次創作小説やゲームデータを置いたり、思った事を気ままに書いていきます。

【MOONDREAMER】第五話

【はじめに】の内容を承諾して頂けた方のみお進み下さい。

 【第五話 毒VS鋼:前編】
「もう始まっているのかしら?」
 そう言って今まで人里で用事があって出掛けていた永琳がその場に現れた。
「あ、八意様」
「お師匠様」
 それに気付いて依姫と鈴仙が返した。
「丁度今からですから大丈夫ですよ」
 依姫はそう永琳に安心するように言った。
 ここは永遠亭の大庭園である。先程勇美が依姫と共に神降ろしの力を使った、自らが作り出す分身の機械であるマックスの新しい運用の鍛錬を行っていた場所である。
 だが、今度は練習ではないのだ。弾幕ごっこを通した本番なのである。
「準備はいい?」
 勇美の初の対戦相手であるメディスン・メランコリーは勇美に確認をとる。
「はー、はー、はー。いつでもいいよ」
 言葉では了承の意を示しているが、どうしても態度で緊張は隠せない勇美であった。どうも正直な少女のようである。
「……リラックス、リラックス。肩の力を抜かないとうまくいくものもうまくいかないわよ」
 これから戦う相手のそんな様子に、メディスンは呆けながらも諭してくれた。
「ありがとう~、メディスンちゃん」
 敵に励まされるという痴態を晒した勇美は、そんな事も気にせずに相手の気遣いに嬉しくなって破顔した。
「そうそう、そう気張らないのがいいよ。私も出す毒の調整をして、あんたの体を余り蝕まないようにするからね」
 それが今回の戦いでメディスンが自分に課したルールであった。
 ──辛い経験をしたメディスンに対して、同じく辛い思いをしながら自分を気遣ってくれた勇美に対しての、彼女なりの敬意である。
「それじゃあ、始めようか」
「はい」

◇ ◇ ◇

「あんたは今回が初めての弾幕ごっこだから、まずは私からいくね」
 そうメディスンは宣言した。それはまがりなりにも弾幕ごっこの先輩として手本を示す意気込みからであった。
「コンパロー、コンパロー、毒よ集まれ」
「?」
 突然謎の言葉を発したメディスンに対して、勇美は首を傾げてしまう。
「それ、何かのおまじない?」
 当然勇美は聞いてしまう。
「うん、私が毒を集める時の呪文みたいなものだよ」
「そうなんだ~」
 メディスンに言われて勇美は納得する。
「別にこの呪文を唱えなくても毒を集める事は出来るんだけどね」
 その言葉が引き金となって、辺りの空気は一瞬止まった。その後勇美はギャグ漫画よろしく盛大にずっこけたのだ。その際スカートの中身が見える事はなかったのは不幸中の幸いである。
「堂々と言い切ったわね、このゴスロリ人形……」
 さすがの依姫も、この発言には頭を抱えるしかなかった。
「って八意様、知っていたのでしょう?」
「ええ、もちろん。あの子とは友人同士だからねぇ~」
 あっけらかんとそう答える師に対しても、依姫は再び頭を抱えるしかなかったのだった。
 そして、先程はしたなくずっこけた勇美は、起き上がるとメディスンに目を向けた。
 その表情はどこか清々しいものであった。何を思っての事だろう。
「うん、メディスンちゃん。その気持ち私にもわかる! 私も意味なくても前口上とか言いたくなるもの!」
 それは共感の眼差しであったようだ。考えてみれば勇美は丁度14歳である。『そういう事』を衝動的にやらないと気が済まない年頃なのだ。
 それを聞いて、依姫は三度頭を抱えた。──どうして自分の周りにはそのような者達が集まって来るのだろうと。
 隣にいる永琳は絵に描いたような天才故に、常人とは掛け離れた感性の持ち主であり、姉は姉でいつも桃ばかり追い回している体たらくである。
 そして今、自分が見初めた者やその対戦相手までもおかしい所があったのだ。もっとまともな者が側にいて欲しいと思うしかなかった。
「依姫様、気を取り直して下さい、私がいますから」
「ありがとう、鈴仙
 救いはあった。だが鈴仙は結果として自分の元から離れていく事を選んだのだ。無理強いは出来ない。
 依姫がそのような思惑を抱いている事をよそに、切られたと思ったら再びなされた火蓋がもう一度切られる。
「毒は十分に集まったからね、じゃあ行くよ! 【毒符「憂鬱の毒」】!」
 メディスンのスペル宣言が行われた。メランコリーの意味が示す憂鬱の名を冠するスペルである。
 そして勇美にとって、初めて自分に向けられたスペルであった。
 続いてメディスンの両手から緑色の泡のような物が吹き出してきたのだ。それが自分に対してたゆたうように迫ってきたのだ。
 形だけで言えばシャボン玉に似ているだろう。だが、毒々しい色がそんな哀愁には浸らせてくれはしなかった。
「これを攻略するのが弾幕ごっこだよね」
 勇美は自分に迫る危機を前にしながら呟いた。ここで立ち向かわなければ前に進めないだろう。
(どの神様の力を借りよう……)
 ここで勇美は少し迷ってしまう。状況に応じた力を持つ神をすぐに選んで下ろす依姫をやはり偉大だと思いながら。
(相手が毒だから……そうだ!)
 暫しの迷いはあったものの、勇美は力を借りる神が決まったようだ。
「お願いします、マーキュリー様!」
 そして選び終えた神に対して呼び掛ける勇美。
 ──マーキュリー、それは盗賊、商業の神だが水星もしくは水銀を指す言葉でもあるのだ。
 それは、水銀が毒性を持つ物質だからというのが理由であった。相手が毒なら自分も毒との関係がある神を選ぼうという、目には目をというのが勇美の思う所であった。
 そして、神に呼び掛けた勇美の前に無骨な鉄の球体が顕現した。
 続いてその球体がダイヤルを回すような音を立てながら変型を始めたのだ。更に粘土細工を引き伸ばしていくかのようにどんどん何かの形を作られていった。
「できたっ!」
 ややスケールの大きい『工作』を終えた勇美は歓喜の声をあげた。
 その勇美の前にそれは立っていた。──ゲームに登場するような盗賊のような容姿である。それを金属の部品で作ったオブジェ、そう形容すべき存在であった。
「驚いたよ、それがあんたの能力って訳ね」
 一部始終を見ていたメディスンは、素直に感心した様子を見せた。
「『私』のだけじゃないよ、依姫さんと、神様の力を借りて出来た事だよ」
 その事を勇美は忘れなかったし、これからも忘れはしないだろうと思うのだった。
「それでも面白い能力だよ、でも私の『憂鬱の毒』はすぐそこまで迫っているわよ!」
 メディスンの言葉通り、勇美の眼前には不気味な緑色のシャボン玉が迫っていたのだ。
「シャボン玉なら、叩き割ってあげるわ」
 だが勇美も負けじと言い返した。そして彼女は機械仕掛けの盗賊と化した、自分の分身であるマックスに司令を出した。
 その司令を受けてマックスが懐からナイフを引き抜き、憂鬱の毒に対して振り抜いたのだ。
 パンッと弾ける音を出して割れるシャボン玉。勇美はその動作を二度、三度と続けて行わせた。
「この調子で全部割ってあげるよ……ってあれ?」
 波に乗った勇美はこのまま突っ切ろうとしたが、異変に気付いた。
「気が付いたようね」
 メディスンが得意気に言ってのける。
「一体何をしたの?」
 腑に落ちない勇美は思わず聞いた。先程メディスンの攻撃を切り落とした時から何か……そう、『憂鬱』なのだ。
「これが『憂鬱の毒』なんですね?」
「そう、私はこの勝負で体を蝕んで後まで引くように毒を使わないと決めたけど、毒の効能までは操作出来ないからね、ごめんね」
「ううん、メディスンちゃんが謝る事ないよ」
 勇美は本心からそう言う。
 自分の持てる能力を余す事なく発揮する、それを否定する理由などないからだ。その者のやれる事を押さえつける、そんなの傲慢に過ぎないのだ。
「さあどうする? 鬱のバリケードをどうやって攻略する?」
 メディスンが挑発的な物言いで勇美に呼び掛ける。こういう発言をすんなりとする辺り、勇美との弾幕ごっこを楽しんでいる裏付けなのであった。
「困ったねぇ~」
 勇美は頭を掻きながらどうしたものかと思考を巡らせるが、それはすぐに済んだようだ。
「要は、直接触れなきゃいいんでしょ?」
 言って勇美はにぱっと満面の笑みを浮かべた。
「どうする気よ?」
 そんな敵の様子にメディスンは訝った。
「こうするんだよ。マッくん、頼むね」
 そしてマックスに新たな司令を送る勇美。すると、彼は両手を腰の辺りまで引き、そこで身構えた。
「【投符「盗賊の投げナイフ」】!」
 勇美の宣言を受けると、身構えていたマックスはそこからナイフを投げ始めたのだ。そして、憂鬱の毒の一つに命中して弾き飛ばした。
 憂鬱の侵食は直接触れた時に起こる。ならば遠くから打ち落としてしまえばいいのだ。それに続いて二つ目、三つ目と、次々に魔性のシャボン玉を撃墜していったのだ。
 遂に憂鬱の毒は全てマックスのナイフの投擲によって攻略されたのだ。そして……。
「どう? 私の初のスペルカードのお味は?」
 そう、勇美にとって最初のスペル宣言となったのだ。
「やるわね」
 メディスンは素直にそう言った。そして言葉を続けた。
「それなら私からも質問するね。どう? 初めてのスペル宣言の感想は?」
「あ、はい」
 質問を返されるとは思っていなかった勇美は、一瞬どもってしまうが、すぐに続けた。
「『チョー気持ちいい』、『もしくはンギモッヂイイ』……です♪」
「はいはい、要するに気持ちいいって事ね……」
 メディスンは頭を抱えてしまった。言い換えているが、言っている事は同じだから。しかも、二つとも何かのパクりだったからである。
 その様子を見ていた依姫も同じく頭を抱えていた。だが、その一方で別の思惑も芽生えていたのだ。
(ナイフ使い……か)
 そう、かつて月で戦ったメイドの事を思い出していたのだ。あの戦いで依姫は実は弾幕ごっこのルールである『隙間のない攻撃をしてはいけない』というものを不本意ながら破る形となって、反則勝ちとなったのだ。
 だから、彼女とは再び戦わなければいけないのだ。それが依姫が地上と関わる事に決めた理由の一つなのである。
 そして、勇美の視点へと戻る。
「もう憂鬱の毒は一掃しましたよ。次はどうするんですか?」
 自信あり気に勇美は言った。初めてのスペルカード発動を決めて、興が乗ってきたようだ。
「スペル一つ攻略したからっていい気にならない事ね。お次はこれよ」
 メディスンが言い返し、そして第二のスペル宣言をする。
「【毒符「神経の毒」】!」
 その宣言をすると、メディスンの周りに黄色いボールのようなものが現出し始めた。
 それは幾何学的な様相をしていて、まるでウィルスの模型のようであった。もしくは……。
「あっ、モ○ッとボール♪」
 勇美は高らかに指摘した。そう、形容するならそれが一番てっとり早かったのである。
「随分懐かしい例えを持ち出すわね……」
 メディスンは呆れた。解答者が出題内容の巧みな罠にはまったりして気分が曇った時に穴に投げられて、番組の最後にまとめて司会者の頭上に叩き落とされたそれも、今となってはいい思い出である。
「ま、まあ、取り敢えず行きなさい。私の『神経の毒』達!」
 そしてメディスンの司令を受けた刺々しい球体は、その命令に忠実に勇美目掛けて襲いかかっていったのだ。
「なんの! もう一回ナイフで叩き落としてあげるまでだよ!」
 対する勇美も臨戦態勢となり、鋼の盗賊マックスへと再び司令を送った。
 ナイフは次々に球体へと命中して、それを打ち落としていった。だがメディスンもめげる事なく球体を現出させては繰り出していく。
 そのようなやり取りを互いに続けていった後、勇美が言った。
「神経の毒はナイフで打ち落とせるから、何度やっても同じだよ!」
 確かに順当にメディスンの弾幕を攻略していった勇美に分があるように見えた。だが当のメディスンは不適な笑みを浮かべていた。
「それはどうかしらね?」
「む~、何がおかしい~!」
 三流悪役のような、しかも間の抜けた口調の台詞を言って勇美は頬を膨らませる。
「私達の周りを見てごらんなさい」
「周りって……あっ!」
 メディスンに言われた通りにして、勇美はようやく事の真相を理解したのだ。
 ──辺り一面大庭園の地面に何かが埋まっていたのだ。そう、それは他でもない『神経の毒』であった。
 打ち落としたと思っていたそれだが、実際はナイフに貫かれても破壊される事なく、その場で地面に落ちて残存していたのだ。
「まあ、気にせず歩いてもいいわよ。踏んで神経にダメージを負っても構わないならね」
 ここまでを見ていた依姫は思っていた。これは確実に、周りに目を向けるのを怠ってしまった勇美のミスだと。
 だが、勇美にとって初の弾幕ごっこであるのだ。だからそれを責めるのは酷だという結論に達していた。
「でも、それならメディスンちゃんだって条件は同じじゃない?」
 勇美は一見もっともな意見を言った。
「馬鹿ね、蛇が自分の毒で死ぬ訳ないでしょ♪」
「ですよね~」
 しかし、現実は非情であった。それに対して勇美は苦笑いするしかなかったのだった。
「だけど、罠を張っただけじゃ芸がないから、追加でやらせてもらうよ」
 そう言うと、メディスンは毒を自分の周りに放ち、それを変型させていった。
「行きなさい、ポイズンビー!」
 スペルカードではないメディスンの攻撃が発動された。文字通り蜂の形をとった毒の塊が勇美目掛けて襲い掛かる。
「参ったねぇ~」
 勇美は頭を掻いて、困った様子を見せるが……。
「な~んちゃって♪」
 それが一転して、舌をペロッと出して悪戯っ子のような振る舞いを見せた。
「!」
 これにはメディスンも面食らってしまった。だが、すぐに冷静さを取り戻す。
「ふん、負け惜しみなんて見苦しいわよ。地面には神経の毒、あんたの目の前にはポイズンビー、この完璧な布陣をどう攻略するっていうの?」
「こうするんだよ」
 そう言った勇美は再びマックスの動力となっているマーキュリーに呼び掛けた。
「マーキュリー様、あなたの優れた脚捌きを貸して下さい!」
 その言葉の後に、盗賊の形を取っていたマックスは一気に分解され、空気中に四散した。
「! 自分の戦闘手段を壊すなんて何考えてるのよ!?」
 初めて『それ』を見るメディスンは、思わず取り乱してしまった。
「まあ、慌てないでね」
 諭すように言う勇美。それに続くかのように分解された筈の機械の断片が再び集まってきたのだ。
 段々と形作られていったそれは、形容し難い様相をしていた。例えるなら、ダチョウの長い脚を更に長く引き延ばし、首の部分を排除したものをイメージしてデザインされた機械のようであった。そして、首が生えているべき箇所からは、砲門が一つ備え付けられている。
「変型した……」
 その目を引く現象に、メディスンは狐につままれたように呆けていた。
「そう、変型だよ。これが私の機械を生成し、変型させる能力ってわけ。じゃあいくよ」
 屈託のない表情で勇美は説明し終わると、続けてスペル宣言を行った。
「【速符「エルメスの靴」】!」
 勇美の宣言を受けると、歪な金属のダチョウとなったマックスはその逞しい脚を一気に振り上げた。するとメディスンが放った毒の蜂の群れは、呆気なくその一撃で消し飛んでしまった。
「ええっ!?」
 当然メディスンは驚いてしまった。だが、気を持ち直して言う。
「だけど、神経の毒はどうするのさ? これがある限りあんたは自由に動き回れないんだからね!」
「それも大丈夫♪」
 その指摘を受けても、勇美は余裕の表情であった。
エルメスの靴の真骨頂はこれからだよ! 頼んだよ、マッくん!」
 そう勇美が合図をマックスに送ると、彼はダンッと勢い良く地面を踏み締め、そして駆け出したのだ。
(速いっ!)
 メディスンはそのマックスの速度に驚愕するが、まだ状況は自分の方が有利だと認識していた。
「いくら速くても、神経の毒を踏んだら意味がないよ!」
「問題ないよ、見ててね」
 言うと勇美はマックスに更に命令を送った。刹那、陶器が割れるような耳障りな音が大庭園に響き渡ったのだ。
「? 何があったの……って、あっ!?」
 音がした後にメディスンが確認すると……、そこには強靱なマックスの脚で踏み砕かれ、粉々になった神経の毒があったのだ。
「気付いた? この『エルメスの靴』に掛かれば毒の地雷なんて屁でもないんだよ。さあマッくん、一気に畳み掛けちゃって!」
 勇美に司令を送られたマックスは勢い付いて辺りを俊敏に駆け回り始めた。
 それにより次々に踏み砕かれる神経の毒。更にマックスの猛攻はそれだけに留まらなかったのだ。
「マッくん、ビーム発射!」
 勇美の言葉を受けて、マックスの砲門からエメラルドグリーンのビームが撃ち出されたのだ。そして見事にメディスンに命中する。
「きゃっ!」
 攻撃を受けて、メディスンは思わず悲鳴をあげてしまった。
 そして機械ダチョウ マックスの猛攻は続いていった。俊足で駆け巡っては神経の毒を踏み砕き、余裕があればビームでメディスンに攻撃を仕掛けていったのだ。
 勿論メディスンは弾幕ごっこにおいて勇美より上である。だから幻想郷に生きる少女らしくビームはかわす事に専念した。
 だが、如何せん『エルメスの靴』の力を発揮したマックスの速度は速かったのだ。だからビーム攻撃の内、三回に一度は被弾してしまったのである。
「最初の弾幕ごっこでここまでやるなんて、やっぱり勇美は凄いわね」
 観戦していた依姫が感心しながら言った。
「私もそう思います。驚くべき子ですね」
 依姫に返すのは鈴仙であった。彼女は依姫の元で訓練を積んだ玉兎であり、かつその中でも優秀であったから、勇美の飲み込みの早さが如何ほどのものなのか分かるのである。
「はあ……はあ……」
 マックスの猛攻を受け続けたメディスンは息があがっていた。人間より耐久力の高い妖怪と言えど、ここまで攻められると堪えるものがあるようだ。
エルメスの靴のお味はどうかしら?」
 毒の地雷を全て撤去し、その主にも相当の攻撃を加えた勇美は得意げに言ってみせた。
「はあ……、はあ……、さすがにキツいわね」
 メディスンは正直に今自分が置かれている状況の感想を言う。
「だから、強制的にご退場頂きたいわ」
 そう言いながらメディスンの表情は不敵で凍り付くかのようになる。
「!?」
 その只ならぬ雰囲気に、思わず勇美は唾を飲んだ。そして更なる異変に気付いた。
「マッくん!?」
 勇美は先程華やかな戦果を飾った自分の分身に異常を感じた。──彼の体から電流が漏れ、ショートしていたのだ。