力が欲しい

東方を中心に二次創作小説やゲームデータを置いたり、思った事を気ままに書いていきます。

【ノベライズ小説】遊戯王ARC-V 第五話

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 この小説は漫画版遊戯王ARC-V第五話のノベライズです。実験的に行ったので前後の繋がりがなく、中途半端な内容になっています。
 それでも読んでみたいという方は先にお進み下さい。

 【アクションフィールド 天空樹の鳥籠!!】
 ソリッド・ヴィジョンが起動され、壮大な青空を天に映して巨大な樹がそびえ立った。そして空にはドーム状に柵が敷かれている。
 それはまさに木をあしらった鳥籠であった。ただしその規模は普通のそれの何倍のものであったが。
「これは……空中デュエル!」
 作り出された光景に柚子が驚愕する。その傍らでは遊矢が歯を見せながら得意気な笑みを作っていた。

◇ ◇ ◇

 ビー、ビー、ビー。レオ・コーポレーションの指令室では地図がモニターに映し出され、警告音が鳴り響いていた。
「何事だ!?」
 逆らう事など許されないかのような厳格な表情で零児が呼び掛けた。
「誰かがソリッド・ヴィジョンを使用したようです」
 それに対して女性オペレーターが答える。
「一体誰かが?」
 沢渡が青ざめながら言った。
「郊外みたいだね」
 素良がそれに続く。
「ソリッド・ヴィジョンの監視映像を出せ」
「了解、モニタリングシステム起動!」
 零児の指令に対してオペレーターが従い、巨大な鳥籠の映像が映し出される。
 素良の目が見開かれる。彼の視線の先にあったのは……。
 黒ずくめの服装で黒髪で前髪にメッシュを入れた青年と、頭にゴーグルを被った小柄な少年。
「黒咲と、榊遊矢だ!」
「あいつ勝手に! すぐに行って中止させます!」
 同志の黒咲の独断を目の当たりにした沢渡はそう比較的良識のある言葉を零児に言った。
「いやいい……むしろ仕事がはやい」
 だが零児はさらりと返してのけるのだった。黒咲は人質を取り、その事は賞賛出来るものではないが、それは相手をおびき寄せるためでありデュエルを有利に運ぶためという傲慢なやり方ではなかったからだ。そういう判断を臨機応変に下せる辺りが零児の技量の高さを表しているようであった。
「ぐっ……」
 沢渡はその言葉に自分への当て付けの意を感じとり、表情を崩しながら歯噛みした。
「……」
 そして素良は何か思惑のあるかのような表情で、無言でトレードマークのペロペロキャンディーを舐めるのだった。

◇ ◇ ◇

 そして舞台は『天空樹の鳥籠』に戻る。
 ゴォォォォ。作り物とは思えない高所の空気の流れが辺りを包んでいた。
「……た、助けてくれェ~~~!」
 いつの間にか修造が天空樹の枝に絡め取られて、空高く宙吊りとなっていたのだった。
「お父さん!」
 それに気づいた柚子は慌ててその方向を見て叫んだ。
「……間抜けめ」
 冷たく吐き捨てる黒咲には目もくれず、柚子は走り出していた。
「遊矢! 私お父さんを助けに行ってくる! 絶対負けちゃ駄目よ!」
「おう!」
 柚子の呼び掛けに、遊矢は握りこぶしを作って頼もしく返す。
 天空樹の入り口までたどり着いた柚子。その中に入ると……。
 ゴォォォォ。吹き抜けの音が辺りに響いていた。樹の中には目が眩む程高い螺旋階段が待ち受けていたのだった。
 決して張りぼてなどではなく、樹の内部まで抜かりなく作り込まれている辺りがこの世界のソリッド・ヴィジョンの技術力の高さを物語っているのだった。
「行くぞ榊遊矢! 私の先攻で行かせてもらう!」
「デュエル!」

黒咲 LP4000
遊矢 LP4000

 両者の足元に風が舞い上がり、緊張感に磨きがかかる。
「さて……空にアクション・カードがあるなら……」
 上空にお目当てのものを見定めた遊矢はクラッカーのようなものを取り出し、
「頼んだよ、ポッポちゃん!」
 ポムッ、そのアイテムを弾けさせた。
「クック!」
 クラッカーの中から出て来たのは、頭に主人のようにゴーグルを被り赤いマフラーをあしらった白い鳩のようなソリッド・ヴィジョンの鳥だった。ぱたぱたと一生懸命に羽ばたきながら空のアクション・カード目指して飛んでいく。
「そうはさせんよ!! 俺はRR(レイドラプターズ)!! ナパーム・ドラゴニアスを召喚!!
【RR-ナパーム・ドラゴニアス】
レベル4
ATK1000 DEF1000
1ターンに一度相手に600ポイントのダメージを与える。
 
 飛翔!!

 黒咲は召喚した三つの瞳を持ち、鳥と龍と飛行機を掛け合わせたようなモンスターの上に立ち飛び上がったのだった。
「!!」
 そのモンスターの威圧感にポッポちゃんは驚く。
「さらにモンスター効果発動! ナパーム・ドラゴニアスは一ターンに一度相手に600ポイントのダメージを与える!」
 ナパーム・ドラゴニアスに乗って飛び上がった黒咲はそのモンスターの効果の発動を宣言する。
 そしてナパーム・ドラゴニアスの口から炎が吹き出された。その光景はまさにナパーム──焼夷弾の名前を持つに相応しいものであった。
 その猛火にポッポちゃんがどっぷりと飲み込まれて焼け焦げる音がした。
「ああ……ポッポちゃんが焼き鳥に……あっちっち!」
 そしてポッポちゃんは哀れ焦げた肉片となってバラバラと降ってきたのだった。そして遊矢はその炎によりLPにダメージを受けていたのだった。
遊矢 LP3400
「このターンのアクション・カードは俺がもらった!」
 アクション・カード争奪の競争相手を葬った黒咲は更に上昇していき、パシィ……アクション・カードを手にしたのだった。
「先攻は最初のターン攻撃できない! 俺はカードを一枚伏せてターンエンド! さあお前のターンだ、榊遊矢!!」
 ここに黒咲のターンは終了した。
「兎に角……空にあるアクション・カードを取れるようにしないとな……」
 空を見上げながら遊矢が呟く。
「遊矢! 空を飛べるモンスターを出して、アクション・カードを取るのよ!!」
 そこへ天空樹を登っている柚子が窓から遊矢に叫んだ。
「それはわかってるけど……実はオレのデッキには空飛ぶモンスターは入ってないんだよね」
「ええっ!?」
 あっけらかんと答える遊矢に柚子は面食らってしまった。
「それじゃ、どうするのよ!」
「うーん……」
 遊矢は困って頭をかく。
「ふざけるな! デュエルは真剣勝負! 飛ぶ事ができないなら命がけでその塔を駆け上がれ!」
 対戦相手のおちゃらけた態度に黒咲はいきり立った。
「まぁなんとかするかね……オレのターン……」
 そう言いながら遊矢はカードをドローする。
「ちっ、こんな奴に期待した俺が馬鹿だった……。この程度の雑魚デュエリストならとっととデュエルを終わらせてやる。このターンのアクション・カードも俺のものだ!」
 モンスターに乗った黒咲は再び上空のアクション・カード目掛けて飛び上がった。
「このカード貰っ……!!」
 そう確信した黒咲の目の先にはアクション・カードを掴む手があった。しかしそれは……。
「何!」
「いいや! このアクション・カードはオレがいただき!」
 その手は黒咲のものではなく遊矢のものであったのだ。こうしてカードは遊矢の手に渡ったのだった。
「お前のデッキには空を飛べるモンスターは……」
 腑に落ちない黒咲の目線の先にあったのは、巨大な紙飛行機に乗って飛んでいた遊矢だった。
(……あの紙飛行機か……)
 黒咲は歯噛みする。
 その頃地上では草むらが激しく黒煙をあげながら燃え盛っていた。
「へへ……お前が地面を燃やしてくれたお陰で、このフィールドには上昇気流ができたみたいでさ。こいつを飛ばす事ができたよ!」
 地面が燃えた事、それは紛れもなく黒咲のモンスターが吐き出した炎が原因だった。それを利用してしまったのが遊矢だったのだ。
 そして上昇気流という自然の摂理まで再現してしまうソリッド・ヴィジョンシステムの技術はやはり凄まじいものがあるのだった。
「ふっ……そうこなくてはな!」
 相手の奮闘を目の当たりにした黒咲は悪役が浮かべるような笑みをたたえて昂った。
「ならば俺は手札からアクション・カードを発動! 『スカイ・フォール』!」
【スカイ・フォール】
魔法カード
相手のアクション・カードを破壊して300ポイントのダメージを与える
「このカードは相手のアクション・カードを破壊して、300ポイントのダメージを与える!!」

 火炎弾!!

 スカイ・フォールの効果に呼応して、ナパーム・ドラゴニアスからポッポちゃんを消し炭にした時とは違う、炎の弾が吐き出され遊矢のアクション・カードを焼き尽くした。
「ああ……折角取ったのに!」
 そして彼のLPにもダメージを与える。
遊矢 LP3100
 更に遊矢の災難はそれだけにとどまらず、火炎弾の着弾により飛び散った火の粉が紙飛行機にまで飛び火してしまったのだった。
「うわぁ燃える! 落ちるじゃないかよぉ!」
 紙飛行機は煙をあげながら失速していった。
「遊矢!」
 その事態を目にして叫ぶ柚子。
『遊矢! あの島に跳び移れ!』
「おう!」
 ユートの呼び掛けに従い、遊矢は炎上する紙飛行機から身を乗り出した。
 そして宙に浮く島という、現実には有り得ない産物に飛び乗るが。
 ザザアァ。飛び出した勢いを完全に殺す事が出来ずに島の地面に着いた手を引き摺ってしまう。
「あっぶね……」
 そして遊矢の体は島から投げ出されてしまい、手一つだけでしがみつく形となってしまった。
 だが何とか這い上がり、宙に放り出される事は免れたようであった。
『ふぅ……』
 遊矢が危機を免れた事にユートは安堵し、遊矢は『こんな危ない事やってられっか』と言わんばかりの強張った表情をしていたのである。
「さぁお前のターンだ! かかってこい!」
 モンスターを駆る黒咲が高らかに呼び掛けてきた。
「なんか妙に自信満々だな……」
 そんな彼の様子に遊矢は警戒の色を強める。
『気をつけろよ。奴のモンスターの攻撃力はたかだか1000……誘っているんだ、何かを狙っている』
「やっぱそう思う?」
 ユートの読みに遊矢も同意する。
『しかも強力な罠(トラップ)だ。奴は前回のお前のデュエルを見ている。となればオッドアイズ・ファントム・ドラゴンの強力な効果も知っている筈だ』
「なるほど……じゃあオッドアイズを呼ぶのを期待してる訳か……」
 そこまで遊矢は言って、
「だったらご期待通り!」
 と、ふてぶてしく決め込んで見せたのだった。
『おい!!』
 ユートは汗のマークを浮かべるような感じで遊矢に突っ込みを入れた。
『私の話を聞いていたのか!』
「だってみんなの期待に応えるのが、エンタメデュエリストだからさ!!」
 それがデュエルで楽しませる事がモットーの、遊矢の譲れないポリシーなのであった。
「Ladies and Gentlemen!! お楽しみはこれからだ!!」
 遊矢はエンターテイナーとしての決め台詞を意気揚々と放った。
「今日はオレのエンタメデュエルの仲間! 大事なアシスタントを紹介するよ!」
「アシスタント?」
 遊矢から初めて聞く言葉に、子が頭に疑問符を浮かべて言う。
「現れろ! Em(エンタメイト)ユニ!」
 ポンッとコミカルな音を立ててモンスターが召喚された。
【Emユニ】
レベル4
ATK800
 それは露出度の高い手品師のようなコスチュームを身に纏ったポニーテール風の美少女の姿をしたモンスターであった。特徴的なのは頭頂部から大きな一本角が生えている事である。
「Emユニの効果発動!」
 遊矢の宣言を受け、ユニは可愛らしく投げキッスをすると、ハートのマークを飛ばしたのだ。
「ユニは仲間のエンタメイトを特殊召喚できるよ!」
 そしてハートは星を撒き散らしながら弾け飛ぶ。その様子を黒咲は凝視していた。
「Emコン!」
【Emコン】
レベル3
ATK600
 ユニに呼ばれて現れたのは彼女に似た容姿のモンスターであった。違いはユニより年上のようだったり角が額から生えていたりツインテール風だったりする所であった。
「二人揃ってかわいさ二倍!! Unicorn!!」
 聖獣ユニコーンを模した美少女二人に囲まれながら、遊矢は破顔しながらはしゃぐのだった。彼も14歳の少年。思春期真っ盛り故の事だろう。
「……」
 その光景を見て柚子は白目を剥いて呆気に取られてしまった。
「柚子ぅぅ~~……! 早く助けてくれェ……!」
 塔の上から彼女の父の情けない声が響いてきた。
「ハイハイ、わかりましたよ!」
 そう言う柚子の目に焼き付いていたのは、ユニとコンの胸の谷間、谷間。
「遊矢の奴……デレデレしちゃって! (何かむかつく!)」
 柚子は遊矢に焼きもちを焼くのだった。彼女も遊矢と同い年の少女故だろう。
「なんでこっちは親父相手にしなきゃならないのよ!」
 叫びながら柚子は階段を登ってゆくのだった。
「行くよ! オレのエンタメデュエルはここからだ! オレはEmコンの効果発動! 場のユニとコンを守備表示にしてデッキからP(ペンデュラム)モンスター一体を手札に加えるよ!」
Emユニ
DEF1500
Emコン
DEF1000
 ちゅっ。今度はコンが投げキッスをした。そして遊矢がハートを手でキャッチすると弾け、そこにはカードが握られていたのだった。
「オレが手札に加えるのは、オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン!!」
オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン】
レベル3
ATK1200 DEF600
「Here we go!! It's a show time!! オレはPS(ペンデュラム・スケール)をセッティング!! レフトPゾーンにオッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン! そしてライトPゾーンにオッドアイズ・ミラージュ・ドラゴンをセッティング!!」
レフトPゾーン
オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン
PS1
ライトPゾーン
オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン
PS8
守備表示
ユニ&コン
オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴンのスケールは『1』! オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴンのスケールは『8』! ペンデュラム召喚はセットされた二枚のPSの間のレベルのモンスターを特殊召喚できるよ!」
 その様子が指令室のモニターに放送されていた。零児は眼鏡の位置を指で直しながら見ていた。
「よく見ておけ、これがペンデュラム召喚……PSのためにセットしたカードは魔法カード扱いとなり、その二枚のスケールの間のレベルのモンスターを呼び出せる」
 と、零児は壇上からそう言って聞かせた。それを指令室にいる者達だけに言い、当のデュエル中の黒咲には伝えず対戦中の者に助言をしないという事が彼がデュエリストとしての心得を理解しているのを示しているのだった。
「こりゃあ、思ったより強力な特殊召喚方法だぜ……」
「だね……」
 そしてP召喚に警戒の色を示す沢渡と素良。敵を上から目線で観戦する事なく見届けるこの二人も誇り高いデュエリストなのだろう。

◇ ◇ ◇

「揺れろ運命の振り子! 迫り来る時を刻み未来と過去を行き交え!!」
 遊矢の頭上に巨大な振り子のビジョンが映し出され、ヒビが入った。
「オレはレベル7のオッドアイズ・ファントム・ドラゴンをペンデュラム召喚!!」
 そして振り子が割れ、中から巨大なドラゴンが現れた。
オッドアイズ・ファントム・ドラゴン】
レベル7
PS4
ATK2500
 白い鎧を纏ったようなドラゴンであった。頭頂部と両翼には水晶のような球体があしらわれている。
「行けオッドアイズ・ファントム・ドラゴン!! 夢幻のスパイラルフレイム!!」
 ファントム・ドラゴンから螺旋を纏った直線のブレスが吐き出された。
「トラップ発動!! R・R・R(レイド・ラプターズ・レプリカ)!! このカードは俺が攻撃されたときレベル4以下のRR一体をコピーして攻撃の盾とする」
【R・R・R】
罠カード
攻撃された時レベル4以下のRR1体をコピーする
 ナパーム・ドラゴニアスのコピーが現れ、本体の前に立ち塞がった。
(やはり何かの罠か!)
 遊矢がそう思う中、ファントム・ドラゴンの攻撃のダメージを黒咲は受けるのだった。
「ヌゥ……」
黒咲 LP2500
「でもまだまだオレの攻撃は続くよ! オッドアイズ・ファントム・ドラゴン効果発動! オッドアイズ・ファントムがペンデュラム召喚されたターン、戦闘ダメージに加えてPゾーンのオッドアイズ・ペルソナとオッドアイズ・ミラージュの攻撃力分のダメージを相手に与える!!」
ミラージュ・ドラゴン
ATK1200
ペルソナ・ドラゴン
ATK1200
 二体のドラゴンのカードの映像から稲妻状のエネルギーが集束され、黒咲に降り注いだ。
「グヌオオオ」
黒咲 LP100
「おおいオイオイ! 攻撃をまともに受けたよ!」
『奴は何を考えているんだ?』
 不可解な黒咲に唖然とする二人。
「グヌオオオオッ」
 黒咲は効果ダメージに体をしびれさせながら呻いている。
「な……なんだこの人……?」
『……』
「この痛みだ……この痛みこそが俺を本気にさせる!」
 黒咲はこめかみに血管を浮き立たせながら何かに取り憑かれたかのようなおぞましい表情をしていた。

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【後書きみたいなもの】
 このノベライズは付属のE・HERO Coreが欲しくて買ったVジャンプに掲載されていた回の話のものです。
 アニメ版のARC-Vよりも面白く、主人公の遊矢の人物描写も爽やかで好感を持てたので、勢いで書いてしまいました。
 しかし……あまり意味がないですね。漫画ARC-Vの醍醐味は何と言っても三好直人氏の美麗な絵ですから。
 それでもノベライズをしたいと思う位、漫画版ARC-Vは良く出来た作品って事ですね。

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