力が欲しい

東方を中心に二次創作小説やゲームデータを置いたり、思った事を気ままに書いていきます。

【MOONDREAMER リベン珠】第9話

【はじめに】の内容を承諾して頂けた方のみお進み下さい。

 【第九話 メタボになるよ:後編】
 鈴瑚に銃撃を仕掛けるも、軽くかわされてしまう勇美。更には彼女に距離をどんどん狭められて嫌な予感を感じるのだった。
「零距離、もらいましたよ♪ 【兎符「バニーアッパーカット」】!」
 勢いに乗ったまま鈴瑚はスペル宣言すると、屈んだ姿勢の状態で地面を両足で強く踏みしめる。
 そして次の瞬間、彼女はその体のバネの反動で上にいる勇美目掛けて飛び出したのである。加えて彼女はその体勢で拳を握って腕を突き出していたのだった。
「!!」
 その瞬間勇美は驚きながらも言葉を発さなかったのは咄嗟の懸命な判断だろう。それがなければ彼女は舌を噛んでいたかも知れないのだから。
 そして、勇美の予想通りに鈴瑚の拳は彼女の顎を捉えたのであった。
 刹那、鈍い音が早朝の湖の周辺に響く。そして、勇美は受けた衝撃により弾き飛ばされてしまったのである。
 勇美はそのまま地面に倒れ伏してしまう。それから彼女は鈴瑚から顎に強かな一撃を貰った事を認識するのだった。
「うう……」
 痛みと軽い脳震盪の苦痛に顔を歪めながら、勇美はうずくまった状態で唸る。
「勇美さん!」
 相方が倒された鈴仙は当然驚愕してその名前を呼びながら意識をそちらに向ける。
 続いて彼女は弾かれるように銃口を鈴瑚へと向けたのだった。それは、今までは単独でいる事を好んでいた彼女らしからぬ、仲間を想うが故の咄嗟の反応であった。
 その事に鈴瑚は感心していた。そして、清蘭から伝わった情報に間違いがなかった事を内心喜ぶのだった。
 だが、勝負は非情というものである。殊更今自分達玉兎は地上の浄土化という重要な任務に就いているのだ。その事に抜かりはあってはいけないだろう。
 故に彼女の次の行動は決まっていた。それを行おうとするのと、鈴仙が引き金を引くのは同時であった。
「いい狙いで、隙も少ない。そしてあなたは幻覚による戦法を得意とする。やはり鈴仙に近接戦は分が悪いですね……」
 鈴瑚はしみじみと呟きつつも、次の行動は決まっているのである。
「そんなあなたにはこれですね、【兎符「バニーショット」】!」
 宣言の後に鈴瑚は拳に自分の気を集め塊を精製すると、その手を鈴仙が放った弾丸の群れに対して突き出した。
 すると彼女の手から溜めた気がオレンジ色の砲弾となって発射される。問題はその砲弾のサイズだ。
 軽く一般家庭で作る雪だるまの胴体部分程の大きさはあるだろう。そのような規模の物が弾丸サイズのエネルギーにぶつかれば……後は察しの通りであった。
 鈴瑚が撃ち放ったオレンジ色の弾は直進しながら鈴仙の弾丸を蹴散らしていったのだ。まるで金属の部品を機械のローラーが引き潰していくかのような圧巻であった。
「しまっ……!」
 鈴仙がそう言い掛けた時には既に遅かったのだった。鈴瑚の特大弾は邪魔物の排除を完遂した状態で、本体の鈴仙に肉薄したのだった。
「でも、私の狂気の瞳の力で軌道を……」
 そう思い付くが、それは叶わない事なのだった。第一に既に砲弾は鈴仙の至近距離まで辿りついていた事。第二にその砲弾の規模が軽く軌道を反らせられるような代物ではなかったからだ。
「くっ……!」
 つまり、甘んじて攻撃を受ける選択肢しか鈴仙には用意されていなかったという訳だ。とうとう彼女は砲撃をその身で受けてしまったのだった。そして、彼女は橙色の爆ぜに包まれてしまった。
 だが、伊達にかつて依姫の元で訓練を受け、地上に降りたった今でも自己流の鍛練は欠かしていなかった鈴仙である。故に彼女は咄嗟に狂気の瞳の力を砲弾が爆発する瞬間にそれに向けて発動し、自身に降り掛かる衝撃を最小限に食い止めたのである。
「はあ……はあ……」
 息を荒げる鈴仙。確かにダメージは軽減したものの、無くなった訳ではなかった。故に彼女はその苦痛に顔を歪めながら鈴瑚を見据えていたのだった。
 鈴仙は確信した。──鈴瑚は以前の自分が知っている彼女よりも戦いの腕を上げている事に。
 自分とて鍛錬は欠かさなかったが、鈴瑚もまた同じく自分を磨き上げていたのだろう、そう鈴仙は思うのだった。
 そう彼女が思っている所に、勇美はダメージが幾分回復しその身を起こしながら言うのだった。
鈴仙さん……、鈴瑚さんって強いですね」
「ええ、それも以前私が会った時よりも腕を上げているわね」
 勇美と鈴仙はそう感心半分、畏怖半分の気持ちで語り合いながら鈴瑚と向かい合っていたのだった。
 どうしたものかと暫し考え込む勇美だったが、ここで彼女は言い始めたのである。
鈴仙さん、鈴瑚さん。ちょっと私の提案を聞いてもらってもいいですか?」
「何、勇美さん?」
「何ですか?」
 敵味方共々に案を上げようとする鈴仙と鈴瑚は、その立ち位置の垣根を越えて同じ気持ちを抱く。
「あの……、パンツ脱いでいいですか?」
 その瞬間、早朝のやや冷え込む空間が更に冷たい何かに包まれたのだった。
 そして、二羽の兎の答えは聞くまでもなかったのである。
「「駄目に決まっているでしょう!?」」
 それは見事な連携によるツッコミだった。確かにかつて鈴仙と鈴瑚は任務の下で度々組む事はあったが、今の息はその時のいずれかよりも見事な調和であった。
 そして鈴瑚は思った。清蘭からの情報で鈴仙の仲間意識の事は真実であって嬉しかったのだが、逆にこの勇美の変態的趣味嗜好の件については、どうか誤認であって欲しいと願っていたのだ。
 だが、現実は非情である。その鈴瑚の願いは決して叶う事はなかったのだった。
「何言っているんですかあなた。そんな事に何の意味があるっていうんですか?」
「意味はありますよ。この早朝の爽やかな空気の元で脱いだらどれだけ解放感がある事か」
「いえ、そういうディープな話は聞きたくありませんから」
 鈴瑚は勇美が踏み入れてはいけない領域の話に突入しそうになるのを制止したのだ。その判断は全くを以て英断だったと言えるだろう。
「そもそも、その行為は戦闘に関係ないじゃないですか? 何考えてんですか?」
「え~。でも鈴瑚さんだってお団子を食べると強くなるじゃないですか~?」
「私の能力をあなたの変態趣味と一緒にしないで下さい!」
 誠に遺憾であった。自分の力をそのようなふざけた概念とない交ぜにされるとは。名誉毀損もいいところだと鈴瑚は憤慨するしかなかった。
「そもそも、パンツ脱いで強くなる訳がないでしょう?」
「いいえ。強くなる、と思えば 強くなる、と思います」
「いや、何ですかそのどこぞの戦場カメラマンのような言い回しは?」
 ツッコミを入れつつも鈴瑚は懐かしく思った。そういえばそういう人が一時期話題になったなあと。
 だが、敢えてここは言っておかなければいけないだろう。
「取り敢えず、パンツ脱ぐのは禁止ですからね!」
「ぇ~……」
 鈴瑚にそう最終宣告をされて、勇美は満足に声にならない呻き声を喉の奥から絞り出した。
 と、このようなふざけた話が勃発してしまったが、ここで意識を元に戻さなければいけないだろう。
「こうなったら仕方ないですね。次の手を打つとしましょう」
 そう言って勇美は、汎用性の高いプレアデスガンから神の力を送還させて解除し、次なる神に呼び掛けようとする。
「では『マーキュリー』様、お願いします」
 そう言うと水の神の力が勇美の分身の機械へと取り込まれ、新たな姿形が生み出されていく。
 そして、造り出されたのは機械仕掛けの盗賊であった。
「【盗賊「マシンシーフ」】ですよ。それでは行きますね」
 勇美がそう言うと同時に盗賊はその足を踏み込むとその勢いに乗って鈴瑚に迫った。
 当然それに対して身構える鈴瑚であったが、ここで気付いたようだ。
(は、速い……!)
 それが彼女の率直な感想であった。身のこなしには自身がある自分から見ても、この機械の盗賊の素早さは磨きが掛かっていたのだ。
 鈴瑚が驚愕する中、マシンシーフはためらう事なく腰に装備したナイフを一気に引き抜いた。
「くうっ……」
 鈴瑚はそれをガードするも、その余りの素早さに相手の攻撃を完全に相殺する事は叶わなかったのだった。
 ナイフの斬撃により、僅かにだが切られてしまった鈴瑚。それを見ながら鈴仙は感心していた。
「あれって、勇美さんが初めて弾幕ごっこに使った方法よね……あの時よりも格段に身のこなしが上回ってる……」
 そのように勇美の昔と今を比べて感慨深いものを感じる鈴仙であった。
 対してこのまま易々とやられる鈴瑚ではなかった。この状況を打破すべく彼女は再び団子を一粒食べると、『ストロベリーダンゴ』の効果で華麗に脚捌きをしながら盗賊から距離を取ったのである。
「続けてバニーショット!」
 鈴瑚の拳から、先のオレンジ色の砲弾が放たれ、盗賊目掛けて前進していく。だが、勇美は一切それには動じなかったのだ。
「甘いですよ、鈴瑚さん♪」
 勇美がそう言うのとほぼ同時であった。マシンシーフは最低限の動きで上体を捻り、いとも簡単に鈴瑚の砲弾をかわした。
「!」
 鈴瑚は再び驚愕してしまう。そして、その隙を見逃す勇美ではなかったのだった。
「今度はもらいましたよ♪」
 勇美のその言葉と共に再度シーフのナイフが振り抜かれ、今度は完全に鈴瑚に対して攻撃を通したのだ。
「くうっ……!」
 ダメージを受け、苦悶の声を出しながらも鈴瑚はその反動を巧みに活かして再び盗賊との距離を取った。
「ふふっ♪」
「!?」
 そして、あろう事か鈴瑚は軽く笑っていたのだった。これには当然勇美は訝る。
「何が可笑しいんですか?」
「いえ、漸くあなたのその力の弱点が見えたもので、思わず嬉しくて笑ってしまったんですよ」
「弱点……ですか?」
 勇美はその指摘には合点がいかなかった。一体今の鈴瑚を追い詰めているマックスのどこに隙があるというのだろう。
「マッくん、後ひと押しお願いね!」
 だが、考えていても仕方ないだろう。勇美はこの優位のまま勝負を決めようと、再びマックスに指令を送る。
「やれやれ……、人の忠告には耳を傾けるものですよ。つまりこういう事です。【兎符「グランドバニーショット」】ってね」
 宣言の後、鈴瑚はまたも拳に気を集める。だが、その先が今までとは違っていたのだ。
 彼女は今度は気を纏った拳を、抉るように下から上へと振り上げたのだった。
 すると、そこから放たれたのは砲弾状のものではなく、まるで水面から覗く鮫の背びれの如く地面を這うようにして進むエネルギーであった。
 これもかわしてあげようかと勇美はしようとしたが、ここで「しまった!」と事に気付いたのだ。
 そして、機械の盗賊にエネルギーの背びれは見事に命中し、その一撃の元に彼は解体されてしまったのである。
「ぐっ……」
 マックスの形状が破壊された事によりダメージが勇美自身にフィードバックされた。そして、納得がいかなかったのは鈴仙である。
「勇美さん、何で避けさせなかったんですか?」
 その疑問に、勇美本人の代わりに鈴瑚が答えていった。
「それはですね鈴仙。あの盗賊は確かに素早かったけど、『地に足を付けている事に変わりはない』って所を付いたまでですよ。つまり、どれだけ上体で攻撃をかわせても、足元から狙えば避けられないって訳ですね」
「その通りですよ。さすがです鈴瑚さん……」
 敵の理路整然とした指摘に、勇美は尊敬と苦悶の入り混じった心持ちの元に言葉を返した。
 だが、次の瞬間に彼女の表情は晴れ渡るのだった。
「でも、分かりましたよ。『それだけの事』だって♪」
「?」
 その勇美の言い草に鈴瑚は訝った。今の自分の隙のない主張を『それだけの事』と吐き捨ててしまうとは勇美は一体何を考えているのかと。
「まあ見ていて下さい。『金山彦命』、『風神』様、そして『セベク』様。今こそその力をここに一つに!」
 突如として三柱へと呼び掛ける勇美。しかも、新たに古代エジプト神話における鰐神のセベクも追加されていたのだった。
 この謎の組み合わせによって、新たな勇美の分身の姿が形成されていったのだった。
 そして、完成したその姿は……。
「……ワニ?」
 そう鈴瑚が呟く通りの造型がそこには存在していた。
「名付けて【鉄鰐「メタル・クロコ」】ですよ♪」
 勇美がそう呼ぶその姿は、屈強な鋼の体躯で構成された頭が鰐の、言うなれば『ワニ男』とでも称するべき様相だったのだ。
 そのワニ男は、圧倒的な威圧感で鈴瑚を見据える。だが、彼女はそれでも脂汗を一滴垂らすだけで決して怯んではいなかった。
「どんな姿になっても地に足を付けている事には変わりありませんよ!」
 言うと、これ以上の言葉は必要ないと言わんばかりに鈴瑚は再びグランドバニーショットを繰り出したのだ。またしても迫りくる背びれの脅威。
「それはどうでしょうか?」
 だが、勇美は不敵にそう言うと、その鉄鰐に目配せをして指示を送ったのである。
 そして、次の瞬間。その鰐は巨体であるにも関わらずに足を踏みしめると、体から勢いよく風を吹き出して上空へと飛び上がったのだった。
「んなっ!?」
 その理不尽な光景に鈴瑚は素っ頓狂な声を出してしまった。無理もないだろう。空飛ぶワニなどと、何かの冗談にしか思えないのだから。
「これで、地に足を付けているが故の弱点は克服出来ましたよ。──それじゃあ今度はこちらから行かせてもらいますよ♪」
 そう勇美が言うと、その飛行鰐は上空で軌道を変えて真っ直ぐに鈴瑚目掛けて文字通り飛んできたのだった。
 ──これは夢に出てきかねない情景だった。ワニ人間が空を飛んで突っ込んでくるなど、地獄絵図もいい所なのだから。
 だが、この混沌とした展開の中でも平静を保っていた鈴瑚は今後自分を誇っていいだろう。
 鈴瑚がそう対処出来たのは、彼女には奥の手が存在したからだった。
「やれやれ、これはとっておきだから、みだりには使いたくなかったんですけどね……」
 そうポツリと呟くと、鈴瑚はここでスペル宣言をした。
「【火兎「兎と香辛料」】」
 その宣言の後、彼女は腰を屈めそのまま体のバネを利用して跳躍を試みた。
 それと同時であった。鈴瑚の足から炎が吹き出したのだ。その事により彼女の跳躍は飛躍的に増していった。
 例えるなら、ジェット噴射といえば分かりやすいだろうか。鈴瑚は足から吹き出す炎を推進力として上空へ飛び上がっていったのだ。
 その狙いは勿論……。
「空飛ぶワニなんて奇っ怪かつ意味不明な事してくれましたけど……こちらも飛べば問題ないでしょう」
 後はそのままこの鰐に炎を纏った蹴りの一撃を喰らわせればいいだけである。そう、このスペルは推進力と攻撃補助を兼ね備えた優秀な性能なのである。
 だが、ここで勇美は不敵に微笑みながら言った。
「かかりましたね……」
「何を言って……!?」
 意表を突かれた鈴瑚は勇美にそう言うが、勇美は淡々とこう言ってのけたのだ。
鈴仙さん、あなたの力を借りますよ」
鈴仙……っ!?」
 そう呟き鈴瑚がちらりとその名前の者に目を見やると、ハッとなってしまった。
 鈴仙は遥か地上で目を閉じていたのだった。その事に意味が無いとは感じない鈴瑚ではなかった。
 だが、時は既に遅かったようだ。
「これぞ合体奥義! 【鰐眼「ルナティックアイズ・メタル・クロコ」】!!」
 勇美が宣言すると、その機械鰐のアイセンサーが真っ赤に輝いたのである。それが意味する所は。
鈴仙の『狂気の瞳』を投影したですって……!?」
「ご名答です」
 鈴瑚は正解を言い当てたようである。
 元々マックスは動力を取り込んで動ける性質があるのだ。それを普段は依姫との契約により貸してもらっている神降ろしの力でまかなっているに過ぎないのだ。
 つまり、エネルギー源となる物なら何でもいいのである。それは今のように狂気の瞳の力でも例外はないのだった。
 そして、鉄鰐の眼の輝きが最高潮となると、そこから狂気の瞳のエネルギーを凝縮したレーザーが発射された。
 対して鈴瑚は上空に飛び上がって来たが故に受け身がとれない状態であった。それが意味する所は。
「ぐわああぁぁーっ!!」
 見事に彼女はレーザーの餌食となり、そのまま地面へと落ちていったのだった。

◇ ◇ ◇

「うう……ワニに『ぐわああ』って言わされた……」
 その事に鈴瑚は自棄になっていた。ある意味それだけは決してあってはいけない事なのだから。
「鈴瑚さん、あの、いいですか?」
「ええ、私の負けですから、今度こそ秘密の通路は使っていいですよ。ここから向こうにありますから」
 そして、その言葉通りに勇美達の勝利という形で幕を閉じていたのだった。
「ごめんなさいね鈴瑚さん。やっぱり二対一って卑怯ですよね?」
「いいえ、これはあなた達の作戦と心構えの勝利ですよ。自分の新技すら囮にしたあなたの姿勢、見事でした」
「そう言ってもらえると照れますね、えへへ☆」
 責められても文句の言えない戦い方をしたのに思わぬ褒めの言葉をもらってはにかむ勇美。だが、彼女はここで確認しなければならない事があったのだ。
「ちなみに鈴瑚さん、これからどうするのですか?」
「う~ん、暫く地上に住んでみようかと思います。地上での生活は色々と大変だけど、住めば都と言いますしね。それに、鈴仙が永住するって決めた所ですからそんな悪い所じゃないって分かっていますからね」
「鈴瑚……」
 自身と、今の自分の故郷である地上を受け入れる旨の言葉を言われて、鈴仙はどこか胸の空く心持ちとなるのだった。
 そして、これは鈴瑚なりの、元同僚としての気遣いなのかも知れないと思うと心強いものを感じるのだ。
「それじゃあお二人さん、お気を付けて」
 その鈴瑚の計らいの言葉を受けて、二人は再び旅立つのだった。特に勇美にとってはここから先は未知の領域なのである。