雷獣ケーキ

東方を中心に二次創作小説やゲームデータを置いたり、思った事を気ままに書いていきます。

【MOONDREAMER リベン珠】第19話

【はじめに】の内容を承諾して頂けた方のみお進み下さい。

 【第十九話 幻想ロボット対戦外伝 すごいよ! サグメさん3/3】
 サグメがあろう事か、イシンの能力を併用する事で自分の操る機雷を人型兵器の形に変貌させた。これに対して勇美は当然のようにブラックカイザーで対抗する事を宣言するのだった。
 やはりそうなってしまったかと鈴仙は項垂れるのだった。こっちにも生粋のロボット使いがいたものだと彼女は最早達観の域に達するのだった。
「もう、好きにやって下さいって……」
 そう投げやりに鈴仙は言った。それを受けて勇美は悠々とこう言った。
「はい、お言葉に甘えさせてもらって、好きにやらせて頂きますよ♪」
 そう言う勇美は実に意気揚々としていた。それを見て鈴仙は『これまた厄介な悪友が出来たものだな』と自分の上司に対して些か失礼な事を思うのであった。
 そして、一応の形で相方から取っておきの力を使う事を承諾された勇美は、満を持して自身の切り札を取り出すのであった。
 それは、先のドレミー戦でも使用した、アバドンズジェネレーターのそれであった。
「マッくん、悪いね。また頑張ってくれる?」
 その勇美の言葉に、まるで「気にするな」と言わんばかりの振る舞いでマックスはそのパワーアップアイテムを再び受け取るのだった。
 そういったやり取りを自らの主と行うと、マックスはドレミー戦の時と同じように眩い光に包まれたのである。
 その様子をサグメは『一体何が起こるの?』と期待と警戒の念を込めた心持ちで見守った。
 サグメがそういう対応をする中で、とうとう勇美の分身の光は収まっていったのだ。そして、そこには勇美達には見慣れた黒い鋼鉄の騎士が再度見参していたのである。
『これは……』
 当然その光景を始めて見るサグメはというと驚愕していたのだった。この現象を初見で驚かない人は恐らく少ないのではないだろうか?
「サグメさんには初めて見せるものですよね? 私のとっておきの『ブラックカイザー』です。あなたの『マインカイザー』に対抗して用意させて頂きましたよ♪」
『成る程……いい催し物ですね』
 その勇美の言い分に、サグメは本心から感心してそう言うのだった。
「気に入ってもらえましたか?」
『ええ、あなたにもそういう芸当が出来てこちらとしても嬉しいですよ』
 その言葉通り、サグメは今とても心が弾むような気分なのである。それは、彼女が今まで能力の為に容易に言葉を発せられなかった事が要因しているのだ。
 サグメは自由に話せないが故に、同僚のみならず、民ともどこか距離が出来ていたのだった。だから、彼女には自分の元に着いて来てくれる者が少なく孤独であったのだ。
 なので、今こうして勇美が自分が新しく考案したスペルカードの演出に喰らい付いて来てくれる事が嬉しかったのである。自分と肩を並べて張り合ってくれる者、それがサグメが一番欲しかった存在かも知れない。
 漸く自分の心の隙間を埋め合わせてくれる者が現れてくれた。だから、サグメはこの勝負を悔いなく行わなければならないのだった。
『勇美さん、この戦い、お互いにしこりが残らないように抜かりなくやりましょう♪』
「そうですね♪」
 こう言葉を交わし合う二人は、互いに気分が高揚してくるのだった。この展開にはサグメの側にいるイシンも乗り気なようである。
 故に鈴仙は思った。「何、この展開?」と。

◇ ◇ ◇

 こうして『何故か』始まってしまった『ロボットバトル』。その先陣を切るのは勇美であった。
 まずは彼女は相棒の騎士用の武器を調達する為に新たな神に呼び掛ける。
「『天津甕星』と『天照大神』の力を受けて今顕現せん!」
 そう神を呼ぶ勇美の口調は、いつもよりもどこか芝居掛かっていた。その理由はすぐに明らかとなるだろう。だが、まずはブラックカイザーに装備を与える事が先決である。
 この呼び掛けにより、黒騎士の右手にはエネルギーの刀身を持つ光の剣が与えられたのである。これで準備は万端だろう。
 そして、その剣を持ったまま黒騎士は敵の人型機械へと突撃していった。すかさず勇美はその攻撃の名前を言う。
「受けてみよ! 一年戦争の光の剣!」
 その言葉を受けて、ブラックカイザーは手に持ったエネルギーの剣を敵機目掛けて振り下ろしたのであった。
 勇美とブラックカイザーの狙いは寸分違わぬ程的確であった。だが、ここでサグメは怯まなかったのである。
『やらせはせんぞ、マインブロッカー!』
 そうサグメが言うと、彼女の操るマインカイザーから先程鈴仙に対応した時のような鋼鉄の機雷が弾き出されたのである。そして、敵の斬撃に合わせてそれを受け止める形で向かっていったのだ。
 続けて、サグメの狙い通り、鋼鉄の機雷は光の剣の剣戟を巧みに受け止めて防いでいた。
「ちいっ……!」
 言って勇美は黒騎士に一旦引く命令を下したのである。そして、主の元に再び戻って来る。
 その後、暫しの沈黙があり、勇美とサグメは互いに見つめ合い、そして笑いあったのだった。
「最高ですね、サグメさん♪」
『ええ、あなたも如何にもロボット使いって感じの台詞回しでノリがいいですね♪』
 このように、両者とも興が乗りすぎていたようであった。
 そんな熱に包まれる二人に対して、温度差があるのは他でもない鈴仙だった。
「勇美さん、ごめんなさい。私はあなた達のノリに着いて行く自身がありませんよ……」
 それを聞いた勇美は、少し脳内の温度が下がるのが分かった。
「あ、ごめんね鈴仙さん、はしゃぎすぎちゃったようで……取り敢えず、鈴仙さんは私のサポートをしてくれればいいですよ」
「さいですか」
 鈴仙は呆れながら、そう投げやりではあるが応えたのである。
「あ、ちなみに次はサグメさんの番ですね」
「そのようですね」
 今しがた自分が仕掛けたのだ。故に今度は相手の番になるのは当然であろうと勇美は思うのだった。
『次はこちらの番ですね。喰らいやがれ、マインシュート!』
 もう鈴仙はツッコまなかったのである。例え『喰らいやがれ』がかつて自分が知るサグメのイメージではないにしても。
 そう鈴仙がある意味で卓越した心境に入っている中でもサグメの攻撃は行われたのである。彼女の攻撃の台詞と共に機雷ロボの右腕から本来の姿の機雷が射出されたのだ。
 そして、それは勇美の騎士であるブラックカイザーの元へと着実に突き進んでいった。このままでは直撃してしまうだろう。
 そう思われていたが、ここで相方の鈴仙は冷静であったのだ。彼女は落ち着き払ってこう言った。
「当たりませんよ」
 そして、彼女はブラックカイザーの後方から狂気の瞳を発動する。それにより機雷は直進の途中で誤作動を起こして彼に辿り着く前に爆散してしまったのだ。
 それは的確なサポートと言える行為であった。加えて勇美は思う。
鈴仙さんもいいノリをしていますね♪」
「いえ、狙ったつもりはありませんから」
 断じて自分にそのケはない。そう鈴仙ははっきりと釘を刺しておくのだった。
 ともあれ、今度は勇美達の番である。なので勇美は気分が乗った状態でこう言った。
「喰らえっ! マインドスターマイン!」
「えっ!?」
 その言葉を聞いて鈴仙は耳を疑った。それって自分のスペルではないかと。
 だが、次にはつまりそういう事なのだと彼女は納得して協力するのだった。
 鈴仙はブラックカイザーに自分の思念を送り込んだのである。すると、彼の右手にエネルギーが集まっていった。
 すかさずブラックカイザーはその手を前に突き出す。すると、そこから様々な色のエネルギーの弾が放出されていったのだ。
 そして、その速度は速く、サグメ達は防御に間に合わなかった。
 マインカイザーに当たった弾は次々に爆ぜて様々な色彩の花火を生み出すのだった。
『当たった! でも!』
 こうして攻撃を受けてもサグメはノリノリであった。
 そして、攻撃を受けたサグメはマインカイザーに体勢を整えさせる。
 体勢を整えたサグメは、続いてイシンへと呼び掛けたのだ。
『今のように向こうは兎と協力して攻撃して来ました。なのでイシン、こちらも対抗してやりますよ』
「はい、任せて下さい」
 このようにサグメ達は二人ともノリノリであるようだ。やはりこの二人の絆というものも深いようだ。
『受けてみよ、ギアチャクラム!』
「発射!」
 そして掛け声の息もぴったりなようであった。
 二人の指示を受けて、マインカイザーは右腕を前に突き出す。するとそこから歯車状の刃が射出された。
 ギュルギュルと激しい音を立てて黒騎士に向かって飛んで来る歯車の刃。だが、勇美は落ち着いた様子でそれを迎え打っていた。
彼女はマーキュリーの力を借りると、黒騎士に投影を始めたのだ。
「当たれぇー、ナイフスロウ!」
 黒騎士は手に集めたナイフを一度に纏めて投げ放ったのである。するとそれらは次々と歯車刃へと命中していった。
 そして、ガキンガキンと音を立てて回転する歯車刃へと攻撃を繰り返していった。
 その課程が続く内に、徐々に刃の回転速度が落ちていったのである。
 キュルル……。歯車はそのような切ない音を立てて、とうとう回転を止め、その場にボトリと落下したのだった。
「これも防がれてしまいましたね……」
 イシンの渾身の攻撃を防がれて、彼女は幾らか気落ちしてしまった。それも無理はないだろう。何せ彼女の能力は本来直接攻撃には向かない筈の所をこうしてサグメのサポートという形を取る事で一時的に可能と出来たのだから。そのチャンスを防がれてしまったのだから、その落胆は一入というものだろう。
 その様子を見ながら、サグメはイシンの気持ちを察しながらこう言うのだった。
『そう気落ちする事はありませんよイシン。あなたの攻撃は見事でしたから、もっと自身を持ちなさい』
「え……?」
 そうサグメに声を掛けられたのはイシンにとって以外であったようで、彼女はポカンと呆気に取られてしまった。だが、そういった心配りが出来る人格こそが本来の、今のサグメなんだと思い直してイシンはその思いに応える。
「はい、ありがとうございます」
 こうして初めての弾幕ごっこで上官から褒められる事となったイシン。その喜びは計り知れないだろう。
『さて、いつまでも落ち込んではいられませんよ。次なる手を打ちましょう。恐らく相手方もそう思っておられる事でしょうから』
「はい、そうですね」
 サグメにそう諭されて、イシンは新たなるスペルを発動する。
「【神殺「ギアブレード」】」
 そのスペル宣言後、マインカイザーの両手にはギザギザのノコギリ刃の備わった剣が備え付けられたのである。
 しかも、ただのノコギリ刃ではない。それは刃が高速回転して恐るべき切れ味を生み出す、チェーンソーのような剣だったのだ。
 その禍々しく歪な剣が鋼の巨体に握られているのだから、その威圧感は一入というものであった。
「うわあ……厄介そう……」
 そう呟きながらも勇美はどこか楽しげであった。何故なら、このような目を引く装備を行えるのが、ロボットバトルの醍醐味と言えるというのが彼女の弁であったからだ。
 なので、彼女はウキウキとしながらサグメ達へと対抗するのであった。
鈴仙さん、こちらも負けてはいられませんよ」
「……もう、どこまでもあなたに付いていくしかないのでしょうね」
 対して、最早このような成り行きになった事を鈴仙もどこか達観して勇美に付き合うのである。
 鈴仙は一旦目を閉じると、その狂気の瞳の力をブラックカイザーの手元へと意識を始める。すると、見事に彼には赤く光るエネルギーの刃が握られたのだった。
「これで完成ですね、ルナティックブレード」
『そちらも準備は万端のようですね。ではやりましょうか?』
「ええ、お互い派手にやりましょう♪」
『いざ!』
 勇美とサグメはそう言い合うと、両者とも自分が生み出した人型の機体に命令を送る。すると彼等は同時にその足を踏み込むのだった。
 一気に肉薄していく二機のロボット。そして、同時に手に持った剣を振り抜いた。
 瞬間、刃と刃が衝突し、文字通り激しく火花を散らせるのだった。それに伴って耳障りな金属音も辺りに響く。
「くぅっ……」
『ちいっ……』
 そんな緊迫した光景の中でも、二人は『ノリ』を忘れはしなかったようだ。
 接触に加えて、マインカイザーの方には回転ノコギリの刃が備わっているのだ。それが高速回転する事でブラックカイザーのエネルギーの刃を激しく切りながら派手に火花を撒き散らしていた。
 そして、両者はその刃の勢いにより反動を付けると、一旦距離をおいたのである。
 それは、一度離れる事で、再度攻撃をする機会を互いに伺う為であった。そして、再び両機体は剣を振りかざす。
 キィィィン! またしても刃と刃はぶつかり合い、激しい衝撃を出すのだった。どうやら両者とも剣捌きは互角なようで、互いに斬り込む隙を見せないようである。
 もう一度距離を取って互いに斬り掛かるも、結果は同じようであった。両者とも一歩も引かなかったのだ。
「……」
『……』
 この結果には二人も閉口するのであった。このままでは埒が明かないのだ、さてどうしたものだろうか。
 と、ここで勇美が口を開いた。
「サグメさん……パンツ脱いでいいですか?」
 その瞬間、ただでさえ凍結されて冷え込んでいる月の都が更に冷たいものが走るのだった。
 そんないたたまれない空気になった現状を、鈴仙は漸く振り絞って言葉を紡いで打破に向けようとする。
「勇美さん……、百歩譲ってあなたがパンツ脱いだら強くなるとしても、今回ばかりはトボット同士の戦いだから意味ないと思いますよ……」
『……』
 その二人のやり取りを見て、サグメは一体この展開は何だと、さすがの彼女とて困惑するのだった。一方で、イシンは合点がいったという様子でこう言う。
「あ~、勇美さん、やっぱりやっちゃったって感じですね……」
『『やっぱり』というと、以前にも?』
「ええ、以前に依姫様の所の玉兎達で一斉に勇美さんに戦いを挑んだ時も『ああいう事』やろうとしていましたから」
『そう……』
 サグメは取り敢えず、そう答える事しか出来なかったようだ。彼女とて、自分にとって未知の領域というものは当然存在するのだから。
「まあ、確かに私がパンツ脱いでもブラックカイザーの強さには影響しないかも知れませんね」
「ええ、更に言うとあなた自身も強くなったりしないと思いますよ」
 そんな勇美と鈴仙のやり取りを見ながらサグメは思った──要はこの子は単に『脱ぎたがり』なのではなかろうかと。
(それはこの戦いでは大した問題ではないわね……)
 サグメはそう思う事にした。公序秩序上は大問題ではあろうけど、この際今の勝負では話題にするのは意味がないだろうと。なので、サグメは次にこう言うのだった。
『お互いこのまま戦いを続けても埒が明かないでしょう。なので、次で最後にするのはどうでしょうか?』
「はい、私もそれがいいと思います」
 どうやらサグメの案には勇美も賛成であったようだ。話を進めやすくていいとサグメは思った。
 そして、彼女はマインカイザーを後方へと退かせたのである。距離を取って一体どうするというのだろうか。
 そうサグメ以外の者が思う中、彼女はマインカイザーにこのような命令を下したのである。
『飛べっ! マインカイザー!』
 それは一見突拍子もないような命令であった。『飛べ』では余りにもざっくらばんとしているだろう。
 だが、マインカイザーはその身も蓋もないような命令を、抜かりなく受けたのであった。
 そう、彼はその場で足を踏み込むと、その体のバネの力で頭上へと飛び上がったのである。それは紛う事なき跳躍であった。
 しかし、空へと跳躍して一体何をするつもりだろうか。その疑問は直ぐに解消される事となる。
「【「片翼の白鷺」】!!」
 そう、サグメがした事は、マインカイザーを上空へと跳躍させた状態からのスペルカード発動のようであった。
 しかも、これはサグメの奥の手であるようだ。宙へと飛んだ機体は瞬く間に眩い白銀色へと染まっていったのだから、その備わった力は計り知るべきだろう。
 更にはマインカイザーの背中から豪勢な純白の翼が生えたのである。機械のボディーからそのような生物然とした代物が生み出されるのは異様な光景であった。
「すごい……」
 その異様でありつつも神々しい敵機を前にして、勇美はごくりと唾を飲みながら見惚れてしまったようだ。
 だが、そう感心してばかりはいられないだろう。そう思い、勇美は言う。
「サグメさん、私の方も負けてはいられませんよ!」
 言うと勇美は、ここで勝負を決める為の神にその意思を伝えていく。
「『金山彦命』に『愛宕様』に『大黒様』よ。あの者に打ち勝つ為の力を私に貸して下さい」
 そう言って勇美は目を閉じて、今までから見ても強く念じるのだった。あのような力強い存在とタメを張る為に、より強大な力が欲しかったのだから。
 その勇美の想いに応えるかのように、呼び掛けた三柱の力がブラックカイザーに取り込まれ、そこから激しいエネルギーが迸るのであった。
 彼から放出されるそのエネルギーは、禍々しい黒く燃える闇の炎なのだった。そして、その暗黒の炎はある形を形成していった。
 それは、炎で出来た翼であった。丁度相手の純白の翼に対抗するかのような様相であった。
 その演出の名前を勇美は口にする。
「名付けて【黒凰「真・ダークメタルフェニックス」】ですよ!」
 その宣言をした後、勇美はその視線をサグメへと向けた。
「これが私と神々のありったけです。サグメさん、受けて頂けますか?」
『上等ですよ、いいでしょう。受けて立ちましょう!』
 そこに両者の信念が通じ合ったようだ。後は泣いても笑っても、互いに持てる力を出し合うだけだろう。
「では!」
『いざ!』
 そう言い合うと、勇美とサグメは同時に遣いの機体へと命令を下した。それは単純な突撃命令であった。
 純白の翼と黒き翼は、両者とも激しく羽ばたきながら同時に相手の元へと突っ込んでいったのである。それだけで辺りは白と黒の激しい奔流が巻き起こっていた。
「っ……」
「くぅっ……」
 鈴仙とイシンの、その当事者の相方はその激しさに思わず呻き声を出してしまう程であった。それだけ今の激突は荒々しいものなのだ。
 そして、とうとう両者の肉薄はピークとなっていった。光と闇のせめぎ合いは苛烈となり、そのボルテージは最高潮になったのだった。
「サグメさん、負けませんよぉ!」
『ふっ、私こそですよ!』
 そう言って勇美とサグメはそれぞれ持てる力の全てを出し切り、全力でぶつかっていったのである。
 黒と白のエネルギーの流動はここに極まっていった。そして、したたかにその衝突は爆発を起こすに至ったのだった。
 その爆ぜは暫く続いたが、漸くそれも終わりを迎える事となる。
 そして、そこに立っていたのは……。
「マッくん、無事だったんだね」
 勇美が言うように、彼──マックスはブラックカイザーの状態が解除されていたが、確かにその身で地を踏みしめていたのだった。
 一方で、マインカイザーは大破し、辺りには無数の機械部品が転がっていた。
 これらの条件が示す事実は……。
『見事です、黒銀勇美。あなたの勝利ですよ』
 それが揺るぎない全てであったのだった。