『ミスターフルスイング』の作者である鈴木信也氏が読み切り時代に手掛けた作品の一つです。
しかし、この作品には、はらわたが煮えくりかえるような表現がなされていました(度合いは人によりけりでしょうが)。
今作品のヒロインである万葉は、地道な努力でビリヤードを続けて来た人でした。
しかし、途中で現れた一文字という今作の敵役は僅か一ヶ月だか三ヶ月だかしかビリヤードをやっていないにも関わらず万葉を負かします。
それだけでも腑に落ちない所を彼女へ暴言を吐いたり、下着姿にした挙げ句取り巻きに酒を浴びさせたりと散々な仕打ちをしました。
しかも、それだけの事をしておいて彼の処遇は才能と努力を兼ねた主人公に『普通に負ける』だけというものでした。
これには憤慨した人も多いのではないでしょうか。
しかし、どうやらこれが怪我の功名となったと思われます。
それは、この理不尽さにキレた者の中に天野こずえ氏がいた事でしょう。
それにより、この癒やし系作品の金字塔たるARIAが生み出されたと考えられます。
経緯はこうではないでしょうか。
天野こずえ先生が一文字にキレて、まず厳格だが努力は評価する晃・E・フェラーリという人物を誕生させ、彼女から世界観が広がっていきARIAを構築するに至ったという事でしょう。
勿論、天野先生が言及した訳ではないので推測の域を出ないのですが、例えば晃の名前の由来から無理矢理考察するしかないですね。
┯┯┯┯┯┯┯┯┯
一文字
↓
寺門ジモンに語呂が似ている
↓
ダチョウ倶楽部
↓
三人組
↓
ネプチューン
↓
『ご指名ありがとうございます、アキラですフゥー』
┷┷┷┷┷┷┷┷┷
当時はボキャブラ天国が一般人からの替え歌の応募(こういう例によって本当に応募作品を採用していたのかは怪しいですが)から、芸人のネタ合戦になり、そこでネプチューンがホストネタで一世を風靡していました。
(語呂合わせのオチ以外の所で笑いを取っていたので、些か反則的だったとも個人的には思う所存ではありますが(笑))
話をARIAに戻していくと、ネプチューンとはギリシャ神話の海神で、ローマ神話のポセイドンに当たる存在です。このトリオ名も三人組という事でその海神が持つ三つ叉の矛:トライデントにちなんで付けられたのでしょう。
つまりは、ネプチューンは海の神なのです。そう、ARIAの世界で重要な役回りをするのは海だったり、主人公達はその海を仕事場にする『ウンディーネ(水先案内人)』だったりします。
これが、かなりキツい考察ながらも、一文字が(間接的に)ARIAを生む功績を生んだという裏付けになるのではという所ですね。
天野先生はその後『あまんちゅ』という、これまた海をテーマにした作品を描いている事から、一文字への怒りは未だ治まってはいないと推測すべきなのでしょう。
ちなみに、彼女はARIAの前身のAQUA以前は意外な事にバトル漫画を描いていたのですよね。その事からも一文字が彼女に与えた影響は大きかったという事でしょうか。
【余談1】
オーバーロードのこのキャラクター、ルプスレギナ・ベータはアニメではこのようにARIAキャラのような顔立ちなので、名前はループシューターズを捩ったものと考えられます。
【余談2】
鈴木信也先生自身、自分の漫画が原因でARIAという大作を作られる要因となったのがショックだったのか、ミスターフルスイングの主人公は『天國(あまくに)』というARIAキャラのように『あ』で始まる名前だったり、星をみるひとのパロディーで『月をみるひと』というのをやったりしています。
(星をみる人は最終目的地は奇しくもARIAの舞台と同じ名前の『惑星アクア』です)