雷獣ケーキ

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コスプレ! 聖女学園001

※この小説は成人向けとなりますので、18歳未満の方は御覧にならないようにお願いします。

【コスプレ! 聖女学園001】
「ご注文のお品物をお届けにあがりました~」
 家の玄関の前のインターホンを通して届く、配達員の声。
 その声を聞いた少女は、その瞬間に跳ね上がるような心持ちとなるのであった。
「あ、来た来た♪」
 口にする台詞はそれ位のものであったが、内心彼女は今心臓が跳ね上がりそうなものとなっていたのである。
 それは、今しがた配達員が届けに来たその品物が彼女の知識が確かならば彼女の価値観や人生観をひっくり返すような代物であったからだ。
 しかし、幾ら心が暴れ回るような感覚でも、彼女の足取りは至って冷静そのものであったのである。
 それは、これから彼女が手を出す『世界』の事を考えれば、沈着冷静でなければとてもではないが対処出来ないようなものであるからだ。
 そして、彼女はその足取りで玄関へと向かったのであった。
「はい、今行きます♪」

◇ ◇ ◇

「はい、確かにサインを頂きました」
「ありがとうございました~♪」
 このようにして配達員と注文者の通例の最後のやり取り──代金支払いとサインか印鑑の商品受け取りの証明──を終えて配達員は配達で通例のトラックに乗ってそのまま帰っていったのであった。
 無論、その後に残されたのは注文者の少女と、彼女が注文した商品でなのであった。
 その瞬間というのは哀愁が漂う所もあるのであるが、それ以上に受け取り側の心の高揚感というものが一際大きい所であろう。
 その少女もその例には漏れない所であるのだった。
「さぁ~てと♪」
 そう独りごちる彼女の表情は実に満面の笑みであったのだ。それが彼女の外見の可憐さをより引き出しているのであった。
 そう、冒頭から通販の商品受け取りという場面になっていたから先送りされていたのであるが、ここでこの少女の詳細について触れておかなければならないだろう。
 ──何せ、この商品がより意味を成すかどうかは、その使い手の器量というものが物凄く重要となる訳であるのだから、この話題は捨て置く事など出来る筈もないのである。
 まず期待する所であるだろう彼女の容姿に触れておく前に、彼女の名前に触れておかなければならないだろう。
 彼女の名前は神無月さやか。ごくごく平凡な高校に通う高校二年生であるのであった。
 それでは、お待ちかねの彼女の容姿についてここで触れておく事にしよう。
 まず、彼女は芸術的と言えるレベルの赤髪を有していたのである。それを彼女はショートヘアにしている事によって、ボーイッシュさに加えて艶やかさまでが醸し出されており、彼女を神秘的に彩っているのであった。
 そして、注文の品を扱うに辺り『とても重要となる』事柄について触れておかなければならなだろう。
 それは、彼女の胸肉……所謂バストの事なのであった。
 いきなり女性のデリケートな部分に触れるというのはどうかと思う所であろう。
 だが、この商品を扱う上では極めて話題から外す事の出来ない死活問題とでもいうべき所なのであった。
 言ってみれば、寿司に例えるならばシャリの部分位の重要性というものがそこには秘められているのであった。それは、シャリの無い寿司などがあったら、それはただの刺身とでも言うべき所であろう。
 その彼女の胸であるが、幸い彼女はその商品を扱う上で十分に『合格点』を有しているのであった。
 何せ、彼女のバストのサイズは85cmはあるのだから。
 これは、彼女の自慢の一つであるのだった。高校生にしては大きいそれにより、彼女の自信となる一因となっていたのであるから。
 自信となっているのであるから、詐欺的な話題とは勿論なってはいないのである。
 言うまでもないだろう。彼女は断じてバストを含めた全てが大きいという深く言及は避けるべきだろう容姿などでは断じてなく、理想的なまでの『出る所は出る、締まる所は締まる』というものであったのだ。
 率直に言えば、この少女──『観月さやか』は極めて女性としての容姿のポテンシャルは極上の仕上がりとなっているのであった。
 それだけあれば、さやかが注文したその商品も喜ぶ……かも知れないだろう。
 こうなると、いよいよその商品が一体何であるのかを触れなくてはならなくなるであろう。
 その事はさやかも分かっている所であったので、彼女は商品を持ちながら家の中へといそいそと入っていったのであった。
 ──宅配物というものは無論段ボールに包まれており、他人にはその中身というものは決して確認される事というのはないのであるが。
 それでも、彼女が注文したその商品が情報通りのものであるならば、『決して人前で公には出来ない』ような代物であったが為に、彼女は普段は堂々としていながらも、今回だけは正に『そそくさ』と形容するのが適切な態度で以て商品を持ちながら玄関の戸を閉めるに至ったのであった。
 その瞬間、閑静な住宅街である事と彼女の今の心境から、バタンという音がすこぶる哀愁の漂うものに彼女は感じられたのである。
 それと同時に、この瞬間に彼女はその魅惑のアイテムが完全に自分の物となった事を再確認する合図ともなったのである。
 そして、無論彼女の心臓はバクバクと跳ね上がらんばかりとなるのであった。
「これで……手に入れたのよね?」
 お調子者の彼女は、ここで『ねんがんの○○をてにいれたぞ!』ととあるネタキャラの台詞を真似てその今の喜びを噛み締めていただろう所である。
 しかし、今回のそれは非常に未知の世界の概念の産物であるが為に彼女らしくなく『本当に手に入ったのか?』という疑問が今でも彼女の思考を蝕んでいる所なのであった。
 心配性とは程遠い彼女の心をそこまで支配してしまう力が、その商品にはあったという事なのである。
 しかし、元来彼女の性格はポジティブそのものなのである。故に高鳴る気持ちもそこそこに、彼女は自分の部屋へと舞い戻っていったのであった。

◇ ◇ ◇

「まずは、中身の確認よね?」
 自身の部屋に商品の入った段ボールを持ち込んでいるさやか。
 そう、自分の部屋なのである。
 例えば犬には狼の頃の本能というものが備わっており、飼い主のあげた餌を自分の居となっている部屋へと持ち込んでから食べるという習性があるのであるが。
 祖先は違えど、本能により基盤を形作られた人間であっても、そのような感覚はあるのかも知れないだろう。
 つまり、さやかは本能的な衝動の元に、獲得したアイテムの確認を自身の縄張りである自分の部屋にて行っていたのであった。
 そして、彼女は段ボールのお供にして装備品であるガムテープをビリビリと、かつそれでいて丁寧に剥がしていったのだ。
 そして、それが終わった彼女はふぅとそこで一息つくのであった。
 何せ、ここから彼女は自分が獲得した物が果たして自分が望んだものであるのかを確認する事になるからである。故にここで息を整えないと軽く脳震盪を起こしかねない所だろうから。
 そして、脳に酸素を十分に送った彼女は、ここで意を決して段ボールの中身へと突入していくのであった。
 心境はどうあれ、その行程自体は非常に簡単なものであろう。何せ、ガムテープを解放して段ボールの蓋を開けて、その中身を取り出せばいいだけの事であるのだから。
 そして、さやかはその簡単であるが息を飲むような儀式を滞りなくこなしたのであった。
 それにより、彼女の手には商品の重みが確かに感じられるのであった。
(やった……♪)
 その重量を噛み締めると共に、思わずさやかの心は踊り弾むような感覚となる。
 だが、実際はその『重量』という言葉は比喩的なものがあり、彼女の心が感じる所であったのだ。
 それは、その品物は物理的な意味合いでの重量というものが極めて軽かったからなのである。
 それが意味する所は何であるのかはすぐに分かる事になる所であり。
 今重要なのはこの商品の外観を確かめる事に尽きるのであった。
「それじゃあ、未知の世界の産物とご対面するとしますか♪」
 そう言ってさやかは袋の中に入ったその品物を取り出すに至ったのだ。
 そして、彼女はそれを解放して自身の目の前に掲げたのである。
 それは、白が基調となっており、その縁淵を群青色であしらった清々しい衣服たる『セーラー服』がそこにはあったのである。
 その産物は元々女性の身を守る為に水兵の服をあしらってデザインされた代物なのである。
 しかし、実際はその可憐で儚げかつ色気すら醸し出してしまうその作りから身に付ける女性に対していかがわしい心を抱く男性を増産してしまったという本末転倒な背景があるのであるが。
 だが、それと同時にその美しい造型というものは女性にとって憧れでもあるのだ。無論、さやかにとってもそれは例外ではなかったのであった。
「嗚呼……セーラー服……♪」
 その事実を噛み締めながら、さやかはその場で酔い知れてしまったのである。
 それは無理もないだろう。彼女の通う高校の制服は、セーラー服でもなければブレザーでもない、極めて地味な仕様であるのだから。
 それが狙いではあるのであるが。地味な外観だからこそ女性の妖艶さを引き立てるような事はなく、いかがわしい心を芽生えさせる男性を減らす事を狙い通りに実行しているのだから。
 その事は分かっていても、それでもさやかは可憐な制服というものには憧れてならないのであった。
 それ故に、彼女は今しがた自分の手元にセーラー服が存在しているという事実に泥酔している状態となっていたのである。
 無論、高校の指定の制服ではないが為に、これを来て登校する等という事は出来ないのであるが。
 ──いや、そもそもがこれの構造を考えれば『登校』などという大それた事を出来るような仕様ではないのである。
 それが一体何を意味するのかという事へ、いよいよ彼女は確認を行いに向かわねばならないだろう。
「さてと……このセーラー服が本当にお目当ての物か……確かめないとね?」
 そう言うと、彼女はおもむろに今着ている服を脱ぎ出して、ブラジャーとショーツという下着姿となるのであった。
 それが意味する所は、その服の『実態』を外観から判断するのではなく、着てから実感したいというさやかの願望がなのである。
 そして、いよいよ彼女はその服に袖を通して着ていったのであった。
 そして、一分程でそこにはセーラー服に身を包んだ清楚な少女が誕生するに至っていたのである。
 その自身の姿を、さやかは自室の鏡で確認している所であった。
「う~ん、やっぱりいいわね、セーラー服♪」
 その憧れの服を着ている事実に、さやかはどっぷりと浸かりながら自身の姿に惚れ込んでしまっていたのである。
 さやかは自身の容姿には前述の通り自信があるのである。故にフランス人やサイコパス程のナルティシズムは存在してはいないが、やはり自分の事は好きなのだ。
 だから、そんな好きな自分がより魅力的な姿にあしらわれるのには歓喜の念が籠もるというものなのである。
 そのようにして、彼女は暫し自身の『憧れのセーラー服に身を包んだ美少女』っぷりに泥酔する事にしていたのであった。
 しかし、いつまでもそのようにしている訳にはいかないだろう。
 なので、ぼちぼちと彼女はそのアイテムの『仕様』の数々を確認を始めていくのであった。
 まず、セーラー服全体であろう。
 確かにそれはまごう事なき純潔の象徴とも言うべき白であしらわれているのである。
 いるのであるが、それは普通のセーラー服と比べて明らかに『足りない』のであった。
 足りない。それはこのセーラー服の生地がセーラー服と呼ぶには……いや、そもそもまともな衣服として成り立たせる事に難儀さを感じる程の仕様となっていたのだ。
 率直に言うと、極めて『薄い』のであった。この事がこのセーラー服が最初に『物理的には』軽いと感じた所以であろう。
 その原因は、このセーラー服の生地を構成しているのがまともに全体にあしらわれた布地ではなく、よく確認すれば網目が見えてしまうような、オノマトペで現せば『スケスケ』以外の何物でもないものであったからである。
 これではよく着ている女性を目を凝らして見れば、その中に存在する柔肌というものが垣間見えてしまうものであろう。
 これでは、女性を守る為に作られた歴史のあるセーラー服の役割からは180度あらぬ方向へ向かってしまったと言わざるを得ないというものだ。
 これは果たして制服と呼べるような代物であるというのだろうか?
 否、このような制服は普通に存在する筈はないのである。無論、このような制服を来て登校している生徒などいる筈がないだろう。
 そこが、彼女がこのセーラー服を通販で買ったが所以なのであった。
 制服という学校に通う目的でなければ購入する手段のないという以前に、この表社会に流通してはいないような代物であるから通販という方法を取ったという事であるのだ。
 その彼女の判断は、正に今正しかったという事がさやか自身の肉体の感覚で以て証明されてきているのであった。
「はあぁん……うん……」
 ここで思わず艶っぽい声を出してしまうさやか。
 制服という学園で普段過ごす為の衣服であるというのに、快楽の証をその声で以て示してしまう辺り、とてもこれは制服と呼べる代物ではない事は明白であろう。
 しかし、ここで彼女は確信に至っているのであった。
 ──これでこそ、私が仕入れた情報が正しかったのだ、と。
 その喜びに比例するかのように彼女の身体は悦びつつあるのであるが、この認識はまだ序の口と言える所であるのだった。
 そして、彼女はその意識をいよいよ下半身たるスカートへと向ける事となるのであった。
 これが上の部分とは比較にならないような構図だろう事が彼女の先程の身に付けた時から抱いている感覚が示しているのである。
 後は、それが『事実』である事を確かめるだけであろう。
(よしっ……!)
 そう心の中で彼女は自身の意識に火を点けるのであった。
 それだけの心構えというのが、今これから確認する事実が本当であるかという領域に入る際に必要不可欠となるからである。
 そして、彼女はいよいよその領域へと向かっていったのであった。
 彼女は群青色のスカートをつまみ上げてその感触を確かめる。
 その瞬間、その手の趣味嗜好の者達を虜にしてやまないヒダ──即ちプリーツがはらりと彼女の感触を心地良くなで上げるのであった。
 これこそがセーラー服のスカートの醍醐味であろう。
 通気性が良く、かつ生地の質の良さ、そこに加えてヒダ丈にしてあるが為に肌触りというものが甘美極まりなくなるのである。
 セーラー服に憧れる彼女もその感触というのは非常にありがたかったのであった。その中に足を通すという事に喜びを感じる程であるのだ。
 しかし、ここで普通の制服のスカートでは有り得ない事が起こったのであった。
 何と、スカートの中央から、まるで刃物で切られたかのように真っ二つに左右へと分かれてしまったのだ。
 このような事態になっているという事は、製作か入荷の過程で思わぬアクシデントが起こり、チェックの際にそれに気付かずに発送してしまったのかも知れないだろう。
 そうなれば、これは欠陥商品もいい所であろう。
 折角の通販で買った服がそのような貧乏くじであったとは、不幸もいい所というものだ。
 しかし、事実はそれでは無い事は彼女の今の振る舞いから証明されているのであった。
「ムフフ……これでこそ『聖女学園』の制服だわ♪」
 そう、今のさやかの表情は非常にだらしないまでに綻んだ恍惚のものとなっており、このセーラー服が確かに『彼女が望んだものそのもの』であった事の証明であったのだ。
 ここで彼女が口にした固有名詞について少し触れていかなければならないだろう。
『聖女学園』。それこそが彼女がネットで知った謎多き学園であったのだ。
 この学園では他の学校にはない特殊な方針というものが存在していたのである。
 それは、入学してきた女生徒を『女性として魅力的な人』へと育て上げるというものなのだ。
 その事が、この異質極まりない制服を配給するに至った経緯であるのだが、それは後々に触れていく事にしよう。
 ともあれ、その謎の学園の教育方針の賜物がこの制服である事に変わりがないのであり、それをさやかは利用する事にしたのである。
 ちなみに、この学園は中学部であり、実際は中学生に配給される制服なのだ。
 しかし、今さやかが着ている代物は確かに高校生で、しかもプロポーション抜群の者の仲間入りをしている彼女にぴったりフィットしているのであった。
 この事に関しては、どうやらこの制服は件の『聖女学園』の卒業者が様々な女性にこの学園の制服を味わってもらいたいと思ってアレンジして作ったとの事なのである。
 その卒業生がどのような思惑でそのような事をしたのかを、さやかはこれから徐々に体感していく事となるのだ。
 話を戻せば、さやかは今しがたスカートのど真ん中から真っ二つにされているという衣服として前代未聞の構造に目を釘付けにされていたのであった。
 それは、強いて近いものを挙げればチャイナ服のような『スリット』であろうか。
 しかし、これは当然左右の横に設けられているのである。それでなければ身を守る為の衣服失格であろう。
 これでは、中身の下着であるショーツが丸見えとなってしまうだろう。ちなみにチャイナ服はノーパンで着るのが正装なのであるが、その事はここでは割愛しておこう。
 そこに加えて、このスカートの特筆すべき所は他にもあるのであった。
 それは、その丈であるのであった。
 ──率直に言えば短すぎであるのだ。厳密に言うと股下10cmというマイクロミニと言うべきサイズであったのである。
 その事と前述の前後のスリットという点から、これはとてもではないが下半身の大切なものを護ってくれる働きというものはまるっきり期待出来る所ではないだろう。
 ──否、そもそもこの制服は女性の身と心の平穏を護るような代物とは本来の目的からして180度正反対の方向へと向けられているのであった。
 その領域へとさやかは完全に踏み入れるべく、ここでこの制服を着る際の画竜点睛を行うべく奮起する。
「さてと……後は『仕上げ』と参りますか♪」
 しかし、こう呟くさやかは既にその制服を完全に身に纏っている状態なのである。そこから一体何を仕上げるというのであろうか?
 そう呟いた彼女の頬は、そこはかとなく赤らんでいるのであった。
「……前代未聞よね、『これ』?」
 そう呟いて彼女はこの先の領域へ足を踏み入れる事を躊躇ってしまうのであった。
 誤解の無きように弁明しておくと、お察しの通りこの観月さやかという少女は『優柔不断』とは程遠い、言い換えれば無縁とも言える程の決断力溢れる性格をしており、その事が彼女の爽やかな外見からの印象にも影響しているのである。
 故に、彼女がここまで躊躇ってしまうのは、正に異常事態と言うに相応しい状況であるのであった。
 だが、その『最後の仕上げ』というものが何かを考えれば無理からぬ事であろう。
 そして、さやかは普段なら自身に無縁である『迷いを振り切る』という思い切りを以てこの先へと進む事にしたのであった。
「学校の制服で『こんな事』させるのはとち狂っているって言って差し支えないけれども……」
 そう言いながら彼女は心の中で反芻するのであった。
 ──ここから先は、この制服の『正装』であるのだ、と。
 だから、断じて自分はこの行為を行っても『痴女』ではないと自分に言い聞かせるのであった。
 それを皮切りに、彼女の心はここに決まったようである。
「……よし!」
 そう言い切った彼女の瞳に映る意思の色は非常に凛としたものとなっていたのであった。普段強きな彼女ですらそう見せないその力強さの瞳は、この場に誰かがいれば魅了してしまっていただろう。
 しかし、その勇気の瞳を携えて行った行為は、勇者と呼ぶには余りにも突飛なものであったのだ。
 彼女が行った事。それは制服の腹部の部分から手を差し入れて、そのままその上にある下着へと手を持っていくというものであったのだ。
 当然、女性の上半身に身に付けられている下着と言えばブラジャーであろう。
 その代物は、女性の胸部というのは男性よりもデリケートであるからなのであった。
 男性の場合は乳房などが備わる場合は(ごく稀な事例を除き)存在しておらず、乳首も母乳を出す為には存在していないが為にごく小さい作りとなっているのであるが為に、背筋の矯正を行う目的以外では胸の下着であるブラジャーなどを身に付ける必要はないのである。
 対して、女性は胸部に脂肪が集まって乳房を形成され、その先端である乳首も大きく成長し、かつ男性よりも敏感となるのだ。
 故に、男性よりも過敏に仕上がる胸部を護る為の意味合いで、女性はブラジャーという胸部の下着を身に付けるのである。
 その為、女性はその専用の下着を身に付けているのが普通なのである。
 しかし、今この場にいる観月さやかはたった今その普通の例から漏れてしまったのであった。
 そう、彼女はそのブラジャーを胸部から取り外してしまったのである。
 今し方彼女が行った行為とは、手をセーラー服の背中側へと回し、彼女の胸を支える下着のホックを外して取り外してしまうというものであったのだ。
 その状態を一言で現す言葉がある。そう、『ノーブラ』なのである。
 その言葉があるが為に男性はその明確になった概念に夢中になり、そして集り尽くすのである。
 それは、二次元の主にファンタジー作品の美少女キャラクターに多いだろう。
 露出度が過多であったり、場合によってはその作品の世界観がブラジャーの存在しないものであったりする等して、胸を包む下着を身に付けていないという無防備な出で立ちを見せるのである。
 だが、さやかの住まう世界は現代日本なのである。故にそこには普通にブラジャーが存在し、それが無い状態で着られる服というのは極めて少ないのだ。
 故に、ブラジャーを外した状態で衣服を着るという事が、ごく一例を除いて如何に異質かという所であろう。
 そこにさやかは足を突っ込んでしまったのであった。
 無論、それは比喩的表現であり、物理的に言えば、生の乳房を直にセーラー服へと押しつけたという表現が適切であろう。
 だが、ここからはどうやら比喩表現では終わらない事になるようであった。
 そう、確かにさやかはこの瞬間にノーブラの痴女へと変貌したのであるが、どうやらこれで終わらせるという甘さはこの制服には存在しないのであった。
「ゴクッ……」
 そこまで来た事を実感した瞬間、彼女はここで思わずゴクリと生唾を飲んでしまったのである。
 そこまで彼女の心を弄んでしまっても無理からぬ事であろう。
 何せ、この先にあるものと比べたらノーブラというのはまだ安全圏にあるというものなのであるからだ。
「行く……しかないよね?」
 ここでまたしても彼女は戸惑ってしまうのであった。
 確かにこうしてセーラー服の中で生の乳房を曝け出すという事はやってのけたのであるが、この先はそれ以上の暴挙であるからだ。
 そこに踏み入れてしまえば、もう後戻りが出来ないのではないかという強迫観念にさやかは囚われているのであった。
 しかし、ここで彼女は自分にこう言い聞かせるのであった。
「これは……『校則』なんだよね?」
 その事実を彼女は口にして自身を納得させる事にしたのだ。
 そして、それは断じて彼女の言い訳ではないのであった。
 そう、彼女が口にした通り、これは『校則』なのである。
 故に、彼女はこの制服の存在する学校のルールに従って今しがたブラジャーを外したのだ。
 そして、ここから先もそのルールに従っていくだけであるのだ。
「よし!」
 そうと決まれば、一見剛胆に見えるがルールには遵守する彼女の心は決まるのであった。
 そして、彼女はその最後の砦へと向かう事となるのだった。
 彼女はそこから、おもむろにスカートの中へと手を差し入れたのであった。
 前述の通り、それは『前後』にスリットという衣服に対する冒涜の産物であるが為に、その瞬間にスカートとしての役割が崩壊し、その裂け目からしたたかに隠しておきたいショーツがお目見えしてしまったのであった。
 ちなみに、彼女のそれは純白であり前方に小さくて赤いリボンが着いた、所謂『定番』のものであったのだ。
 そう、彼女は基本的に清楚であるのだ。故に外見のイメージからは黒のレースのショーツを身に付けてでもいそうな感じではあるのだが、それは断じて違うのであった。
 だが、ここからの問題はどのようなショーツを身に付けているか以前のものであるのだ。
「えいっ!!」
 その掛け声と共に、さやかはとうとう一斉一代の思い切った行動に出てしまったのであった。
 それは、スカートの中に手を突っ込み、そこからショーツを引き抜くという暴挙であったのだ。
 そう、これが答えなのであった。聖女学園においては女生徒が普段どのようなショーツを身に付けているかというのは断じて問題とはならないという事なのである──何せ、そもそもがショーツを身に付ける事すら許されていないのだから。
 そして、さやかはそのショーツを足を上げて引き抜き、手っ取り早く取り外してしまったのであった。
 その覚悟のいる動作を、さやかは実にスムーズにやってのけてしまったのであった。
 無論、それは彼女が自ら望んで『聖女学園のルール』を享受する事を選んだからである。
 そして、今の彼女の状態をもっとも端的に的確に言い表す言葉があるのであるが、それがこれである。
『ノーパン』。
 様々な属性と汎用性を兼ね備えた淫靡な響きのあるその言葉が、今のさやかを彩っていたのであった。
 下着無し。ノーブラにしてノーパン。セーラー服の下は正真正銘のハダカ。
 そのような状態となってしまったさやかは無論その属性である今の自分を噛み締めたいと思う所ではあったのであるが、どうやら彼女の感性はそれを許してはくれなかったようであった。
「あ……っ♪」
 暫し方針状態となるさやか。この今の感覚が一体何であるのかを脳が判断するのには少し遅れていたのであったが。
 どうやらそれが一瞬の内に彼女に降り掛かったようであった。
「~~~~~~~~~~っ!!」
 無言でその激しい流動の感覚を享受するさやか。
 そして、彼女は全身を痙攣させ──そのまま気をやってしまったのであった。
 気をやる、それは言い換えれば絶頂だのオーガズムだのという表現が適切である産物なのである。
 即ち、彼女は今しがた下着無しでセーラー服を着てしまった刺激に身体が耐えきれずにそのままイッてしまったという事なのであった。
 そして、一頻り身体を跳ね上がらせて絶頂を極めたさやかは、息も絶え絶えの状態となって恍惚の表情と声で以て今の自分を噛み締めるのであった。
「はあ……はあ……。さすがは聖女学園の制服だわ。『ルール通りに着た』だけで初めての私は達してしまったわ……」
 そう蕩けるような顔と声色で以て今の自分を実況するさやかであったが、これで終わらないのが彼女の性格がアクティブである所以なのだ。
「ええ、素晴らしいわ。この悦びは『一人だけ』で味わうには勿体ないわね♪」