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【コスプレ! 聖女学園002】
その少女の名前は観月さやか。ごくごく普通の高校に通う、ごくごく普通の少女……とは少し趣が違ってはいたのである。
彼女はこの世に余り出回ってはいない『影の名作』とか『穴場スポット』等という万人には見出されていないような産物が好きという嗜好があるのであった。
そんな彼女だから、もし『ポケットモンスター』がコロコロコミックの大々的な宣伝が無くて影の名作となっていたら、この少女は間違いなくその作品の布教活動を行っていた所であろう。
このような彼女の方向性を形作ったのはまず彼女の両親が世間で人気の出ているものばかりでなく、自分だけのお気に入りのものを見付ける事を教え込んでいたという事があるであろう。
そんな寛容な両親であったからこそ、さやかの感受性は健やかに育まれる事となったのである。
それに加えて、今の世の中のネット社会で持て囃されるものの方向性がカルト的・破壊的な所へと向かいがちな所というのもあるのだ。
一つ例を挙げると東方projectの登場人物の一人である綿月依姫に関してである。
彼女は味方側四人に対して完勝してしまうという普通の漫画ではやらないような事をしてしまったが為に評判が悪いのだ。
その事はさやかにも分かる所ではあるが、それでも彼女への罵詈雑言というもの、そして彼女の律儀な人物像がまるっきり考慮に入れられていないという点でも疑問が感じられるのであった。
その事も相俟って、さやかはネットの一辺倒になりがちな世論というものが好きではなかったのであり、これも彼女が世に認められないものに執着するという感性に拍車を掛ける一因となっていたのである。
閑話休題。つまりこの観月さやかは世の中で大々的に取りあげられているものには、本当に有益・必要なものでなければ安易に手を出さないというポリシーが彼女にはあったのだ。
故に、彼女は多くの人が見出していない未知の領域へと足を運ぶのがこの上ない至上の喜びであるのだった。
そんな彼女が見出してネットの片隅の情報で見付けたのが『聖女学園の制服』という訳なのであった。
ちなみに、彼女はいつも通りの普段着へと着直していたのである。無論、女性のデリケートな部分を護るブラジャーやショーツというものはキッチリと再装着済みだ。
彼女がこの制服を見出して通販で購入したのはやはり露出行為に興味があるからであるのだが、彼女は普段はしっかりと下着を身に付ける健全な少女なのである。
それは、彼女が現実と非現実の区別をはっきりと付けている証でもあり、彼女が普段の生活を非常に大切にしている事の裏付けでもあるのだった。
即ち、彼女の本質は決して自分の身体を粗末に扱うようなタイプの淫乱な痴女のような類いの者では断じてないという事なのである。
しかし、それと彼女が未知の快楽に魅力を感じるという事に関しては全くの別の問題である所なのである。
彼女の快楽への探求心というのは常人とはかけ離れているのであった。
無論、前述の通り彼女は普段はちゃんと下着を着けて健全な生活を送っているのであるから、そこは問題無いだろう。
その中で、彼女は魅惑の快楽を求めて普段の生活をわきまえつつ探りを入れているという訳なのであった。
つまり、彼女は『現実の世界』に舞い戻っていたという事であるのだ。
その状態に身を置く事で彼女は一呼吸置く事に成功している訳であり、ここからが彼女にとって『本番』という事なのである。
それは何を示すのかというと、彼女は喜びを一人だけで占めてしまうという事に甚だ疑問を持つタイプなのである。
つまり、彼女は喜びというものは皆で分かち合うというのがものの本質であるというポリシーを持っているのであった。
それを今、この観月さやかは実行に移そうとしているという事なのだ。
彼女が今しがた取り出したのは、最早携帯式の通信手段として他の追従を許さないレベルにまで昇華された概念たる『スマホ』という事なのであった。
無論、彼女はこのアイテムを先程から散々触れている通販にも活用していたという事なのである。
そんな、彼女を未知の世界を知る手助けとなっているアイテムを用いて、さやかはそのアイテムの本来の目的である『通話』に使用を始めたのであった。
そして、そこから暫しの間コール音が鳴り響いたのである。
しかし、それもすぐに収まる事となるのであった──相手の者が通話に出るという形で。
『はい、もしもし』
このように、通話に出る定型文を相手の者は口にするのであった。
それに対して、さやかはごく平坦な態度で以て答えるのであった。
「あ、もしもし望(のぞむ)?」
望、それが相手方の名前であるようであった。
そして、その望という名前の者はさやかに対して受け答えしていくのであった。無論、その者にとってさやかがよく顔の知れた存在であるからである。
『あ、観月さんですね?』
その望の声は実に落ち着いたものであったのだ。何せ、彼にとってとても仲の良い友達であったからだ。
文字だけでは分かりづらい所であるが、受話器の奥から聞こえるその声は男性のものであるか、女性のものであるかをはっきりとは伺い知る事が難しかったのである。
しかし、望と書いて『のぞむ』と読む事から、その性別を判断するのは難くない事であろう。
そして、さやかはそんな『彼』に話を切り出すのであった。
「うん、望もその様子だと元気そうでなによりね♪」
「まあね、僕の一番の取り柄は健康な事だからね?」
このようにして、二人は普段の通りにごく当たり障りのないまったりとした会話のやり取りを行うのであった。
このような態度を互いに取る事が出来る辺り、この二人の間にある絆というものが如何に深いかを伺い知る事が出来るというものであろう。
なので、さやかは今彼女が考えているような如何わしいような事も、自分達の持つこの絆があれば『多少は』許される所ではないかと相手に見えない受話器の向こうで密かにニンマリと笑みを浮かべてしまう所なのであった。
そんな思惑を抱きつつも、さやかはここで切り出す事とする。
「望、突然なんだけど、今日暇してる?」
これが彼女が切り出しに選んだ答えという事なのであった。まずは事の詳細は明かさずに、相手をうまく誘導して物事を運ぼうという魂胆である。
そうとは知らない望は、元来の素直な性格から特に疑問を抱く事もなく相手の企みに承諾してしまうのであった。
「ううん、特に今日は用事はないよ?」
「それなら良かった♪」
そう言葉を返しながら、さやかは受話器の向こうなのでガッツポーズをしても気付かれる事なく済んだのであった。
当然そのような事を相手がしているとは露知らずな望はそのまま相手のペース乗せられていく事となる。
そんな彼の無垢な心を弄ぶかのように、淡々とさやかは事を運んでいくのであった。
「それじゃあ、これから私の家に来ない?」
実に無難な所へのタッチと言えるだろう。無論、この攻め方は非常に効率的に良いものであり、望はまんまとその相手の手に乗ってしまうのであった。
「うん、いいよ。観月さんに会うだけでも有意義な時間を過ごせるってものだからね♪」
「嬉しい事言ってくれるじゃないの♪」
純朴受け答えをするそんな自分の男友達に対して微笑ましいものを感じつつも、少しばかりこれから彼を陥れるような事をする自分に対して後ろめたさというもの感じるのであった。
しかし……。
(ごめんね、望。でも、やっぱり一緒に楽しみたいんだよね……♪)
そう、これは皆で喜びを分かち合う為の『必要な犠牲』だと、さやかは自身の心に言い聞かせるのであった。
◇ ◇ ◇
そして、無事に招き入れた客はしっかりと目論み通りに到来してくれる事となったのだ。
その後、すぐに観月宅の玄関のインターホンが鳴らされる事となるのであった。
つまり、ピンポーンという非常に小気味の良い音がさやかの自宅を包んだという事なのであった。
「おっ、早速来てくれましたか♪」
そのようにして、さやかはさながら肉食獣のようにその音に敏感に食い付いたのであった。
そして、そのまま玄関へと向かう様すらも、まるで獰猛なハンターそのもののような立ち振る舞いであったのだ。
そんな自身の心境を悟られないように、さやかはここから先は至って冷静に努めるようにと自身に言い聞かせながら玄関のドアを開けるに至ったのであった。
そして、玄関を開けた先にいた人物がお目当て通りの者であった事を確認した彼女は、爽やかな笑顔で持って『彼』を出迎えたのである。
「こんにちわ、望♪」
「あ、観月さんこんにちわ♪」
どうやら、さやかが口にした名前で間違いなく、この者は望で正しいようであった。
その事を確認出来たさやかは、そのまま彼を手筈通りに招き入れるだけである。
「さ、どうぞ中に入って♪」
「お邪魔します」
そう言う望の振る舞いは少しばかり他人行儀となっていたのであった。
それは無理もないだろう。何せ、彼はさやかに会うのが主に学校の校舎の中であるのだ。だから、今こうして直接彼女の家を訪問するというような展開は、正直言うと少ないのである。
そのようにして、彼はこうして異性の親友の家の中へと進むというそれなりに勇気のいる行動を示したのであった。
そして、彼は当の提案者たるさやかの後を着いて歩いていたのであった。
その時、彼は少々違和感を抱いていたのであった。しかし、それは簡単には言葉に出来ないような複雑な雰囲気が混ざり合って出来ていたのである。
敢えて言葉にするとこうであろうか。魔の者に立ち向かう勇気ある者と、その魔の根元たる者という二律背反の属性が、今のさやかからは感じられるのだ。
この事に望は言いようのない得体の知れないものを感じる所ではあったが、それでも別に彼の身を滅ぼす事には繋がらずに、根本には優しさがある事を彼は感じ取る事が出来たが故に、成り行きに身を任せる事にしたのであった。
そんな想いを胸に、望はそのままさやかの後を着けていったのである。
それは、断じて邪な何かの想いを抱くさやかの言いなりになるのではなく、厭くまで自分の意思で彼女に付き添うという彼なりの心意気からなのであった。
そのような両者がそれぞれの想いを抱く中で、いよいよ二人はさやかの部屋へと辿り着いたのだ。
「はい、どうぞ♪」
そう意気揚々と薦めるさやかであったが、望は少々引け目を感じる所ではあったのだ。
それもそうだろう。何せ、神聖な存在である異性の少女の部屋の中へとその身を送り込むのであるのだから。
そこには当然、男である自分が踏み入っていい領域であるのかを躊躇ってしまうものがあるだろう。
その考えは、幾ら望がさやかと仲良くなっても変わりはしないのであった。
日本古来からの言葉に『親しき仲にも礼儀あり』というものがある程であるのだ。故に幾ら気が知れた間柄であっても、安易な考えはご法度というものであろう。
ましてや、それが相手が年頃の少女である事が更に拍車を掛けていたのであった。
しかし、当の相手は実に平常心で以って接してくれるのだ。その想いを彼は無駄にはすべきではないと思い直していくのだ。
(うん、さやかさんは問題に感じていないし、逆に気を使いすぎるのは失礼というものだよね……)
その考えで以って、彼は自身の心の内を鼓舞するのであった。後は、負い目を感じる事無く彼女の行為に甘えるだけである、と。
その望の考えは正しくもあり、間違ってもある訳であるのだが。
そのような思惑を抱えながら、望は次にさやかがどう出て来るのかを心待ちにしながら構えるのであった。
そんな望の様子に気付いたさやかは、彼にこう言葉を掛けるのだった。
「望~、何固くなってんのかな~? 私達、幼馴染だし、必要以上に気を使い合う必要なんて無いんじゃないかな~?」
「あ、そうだね……」
どうやら望の心境が態度に出てしまっていたようだ。気付かぬ内にそのような雰囲気を醸し出してしまった彼は、ここで自分の勘繰りすぎなのを悔いるのであった。
それに対して、さやかは普段通りのやり取りにすべく、ここでこう切り出す事とした。
「まあ、折角うちに来たんだし、取り敢えずお茶でも飲んで寛いでいってよ♪」
そう言うとさやかはその言葉を実行する為に、一旦自身の部屋から退出するのであった。
つまり、ここに一旦望は一人取り残された事となったのである。
「うん、今僕女の子の部屋に一人いる訳だよね……」
その事実に、望はそこはかとなく背徳的なものを感じるのであった。
下手すれば犯罪に片足突っ込むかのような今のその条件に、またしても彼はその心境が穏やかではなくなる所なのであった。
それに加えて、彼は何やら感じる所なのであった。
(何だか……部屋全体が甘酸っぱい匂いがするような……)
それが彼が感じる違和感の正体なのである。
しかし、それがどういう原因で醸し出されているのか、彼には知る由も無かったのであった。
なので、彼は一先ずこう結論付ける事としたのであった。
(うん、女の子の部屋だもんね。如何わしい言葉になるけど、男からしてみればいい匂いに感じるは当然だって事だよね)
この理論で彼は自身を納得させる事としたのである。
そうこう彼が一人自身の心の内と格闘している間にも、幼馴染の少女の再来はここに来たようだ。
「お待たせ~☆」
こういう時特有の茶目っ気を見せた態度で以って、観月さやかはここに舞い戻ったのであった。
そんな人懐っこい幼馴染の振る舞いに、望は部屋の匂いがどうこうという事を気にするのは下らないという安堵感というものを感じる。
そして、さやかは宣言通りに手には紅茶を乗せた盆を持っていたのであった。ちなみに……。
「アイスティーしかなかったけど、いいかな?」
「……」
この瞬間、暫しの間時が止まったのであった。
そして、時が動き出すと同時に望は言わずにはいられなかったのであった。
「……睡眠薬なんか、入れてないよね?」
今までのさやかに関する不穏な要素の数々がある事に加えてこの台詞なのだから、望がそう勘ぐるのも無理はないというものであろう。
しかし、さやかは今の望の言葉には特に敏感になる所はなかったのであった。
「そんな筈はないでしょう? 普通に飲んで大丈夫だよ?」
そう口にする彼女からは、一切の嘘や隠し事をしているという雰囲気は感じられなかったのであった。
その事で望は安堵するのであった。
確かにさやかは頭の切れる少女である。しかし、それは彼女が詐欺師やペテン師のような方面での切れ者という所ではなく、嘘偽りを吐く事は彼女は得意ではあらず、また好まない性質でもある事を望は知っていたからだ。
故に、彼の結論は決まるのであった。
「そうだね、それじゃあお言葉に甘えていただきます♪」
その答えは非常にシンプルである『是』なのだった。
そして、彼はその程良く冷えた飲み物によって、その頭の思考をしゃっきりと覚醒させられるに至ったという事なのである。
「ぷはぁ~、ご馳走様でしたぁ~♪」
そう振る舞う彼の仕草は、男性でありながら、そこはかとなく可憐な少女のようでもあるのであった。それが、この先彼に待ち受ける運命に左右してくる事になるのであるが、今の彼はそのような事は知る由もなかったのである。
そして、そんな彼の可愛らしい飲みっぷりを見届けたさやかは、今こそ本題に入るべきだと思うに至ったのである。
「お粗末様でした。ところで望?」
「え、何?」
そう突然として持ちかけられた幼馴染の言に対して、望は様々な心境となるのであった。
まず普通に一体何事だろうかという至極真っ当なものであったのだ。
それに加えて、やはり来たかという感もそこには同居していたのであった。
何せ、今まで思わせぶりな要素が多数存在していたのである。それを受け止めさせられて彼は単に『何も無い』では終わらされる事は決してないだろうという直感的なものが脳裏によぎっていたのである。
さて、ここで鬼と出るか邪と出るか見届けないといけないだろう。
そう思いながら望は相手の目論見をどっしりとした態度で以って待ち受ける事としたのであった。
何が来ても驚かないようにしよう。そう思って彼はお腹に力を入れて受けの体勢に入るのだ。
だが、そんな彼の耳に届いたのは、どう取り合っていいのか分からないものであったのだ。
「望、通販で買った『制服』が私の元に届いたんだけど、見てみない?」
「ほえっ?」
この言に彼はどう返していいのか、そしてどう考えればいいのか思考が追いつかなくなるのであった。
制服が届いたというのはどういう事であろうか?
確かに望は先日の先日に、さやかがちゃんと学校の制服を着て登校している様をその目で見ていた筈である。
それは見間違う筈がないであろう。例え何らかの事情で以って彼女が制服を着れない状態になっていたとしても、その際には私服姿や、余り格好のつかない対処法であるジャージのような体操服を着て登校するという手段を取っている筈であるからだ。
故に、彼はさやかが自身の学校用の制服を購入したという線は却下するに至るには十分なのであった。
では、他の選択肢は一体どうなるというのだろうか?
しかし、これに関してはそう選択肢は多くないであろう。つまり、こういう事である。
(他の学校の制服でも買ったのかな……?)
この望の心の声が答えとなるだろう。
つまり、さやかは自身の学校の制服とは違う物を、そのデザインの可愛らしさに惹かれて購入しただろうというたった一つの答えに行き着くのだ。
そう思い至った望は、少しばかり心に得も言われぬワクワク感が生まれるのであった。
(そこまでしてさやかさんが選んで手にした制服って、一体どんなだろう?)
その事に望は心に逸る気持ちが芽生えるのであった。
望も知る通り、さやかは自分自身に対する自信を持っている人だというのは重々承知であるからだった。
故に、単に自分を良く見せる為に他校の制服を購入する等という事が有り得なかったからである。
つまり、さやかが手にした制服は、それだけ彼女の目に留まった注目の一品という事になるであろう訳なのだ。
(ゴクッ……)
そう思い至った望は、思わず固唾を飲み込んでしまうのであった。二人しかいないが為に比較的静かな部屋に、グブッとかググッとでも擬音になるようなはしたない音が鳴り響いてしまったのであった。
それをさやかは敢えて聞こえて聞こえぬフリをしたのであった。
この場合は、望を自身の成り行きのままに振る舞わせる方が面白い事になるのが明白であったからだ。それを下手に指摘して変に取り繕った態度にさせてしまってもつまらないだろう。
(ふふっ……これは楽しくなりそうだわ♪)
そして、さやかはさやかでここからの展開を想像して心躍らせるのであった。
これはさぞかし、幼馴染の女の子のように可愛らしい少年をいじり甲斐がある展開になってくれるだろう、と。
そういう思考になったさやかは、ここで選択肢が二つ生まれるのであった。
──その制服をまずは直接望に見せるか。
──はたまた……。
そう思い至った彼女であったが、その答えはすぐに決まるのであった。
そう、ここは迷う気はないだろう。即ち、先制パンチは遠慮する事なく放ってしまえというものなのである。
ここに彼女の答えは決まり、それを迷う事なく口に出力するのであった。
「それじゃあ、私が『その制服を着てくるから』ね♪」
「あ、ちょっと……」
その有無を言わさぬさやかの物言いに、少々望はたじろいでしまうのであった。
(まあ、さやかさんらしいかな……?)
しかし、望はそう思う事にしたのであった。こういう強引でありつつもアグレッシブな振る舞いの出来るさやかの事に関して、正直引かれる所を確かに感じている自分がいるからだった。
だが、今回ばかりは彼は自身の判断をすぐに些か後悔する事となるのであった。
そして、その運命の瞬間は容赦なく訪れるのであった。
幼馴染みと言えど、さすがに異性の前で生着替えというものをするような破廉恥な行為をする気は無かったさやかは、互いに気を利かせ合う意味合いで脱衣場にて着替えを済ませてきたのである。
しかし、今ここに繰り広げられる光景から言うと、そのようなさやかの配慮は果たして意味があったのかと思う程の産物なのだ。
そして、それをしでかした戦犯であるさやかは生まれ変わった姿での第一声にこう言うのであった。
「じゃじゃ~ん☆ 私のこの制服姿、似合ってるかな~?」