雷獣ケーキ

東方を中心に二次創作小説やゲームデータを置いたり、思った事を気ままに書いていきます。

コスプレ! 聖女学園003

※この小説は成人向けとなりますので、18歳未満の方は御覧にならないようにお願いします。

【コスプレ! 聖女学園003】
「じゃじゃ~ん☆ 私のこの制服姿、似合ってるかな~?」
 そのように宣う観月さやかは、その振る舞いだけを見れば無邪気で可憐な乙女そのものであろう。
 しかし、そのような見解に至らせる要素というものをことごとく吹き飛ばしてしまっているのが、他でもなく彼女の今の服装にあるだろう。
 果たして、こう言うだけでさやかの暴挙を表現出来るかどうかは否という答えで締め括られる所であろう。
 だが、寧ろ平常心というものを一気に破壊されてしまった望としては、こう言葉を返すしか脳内に選択肢は残されていなかったのであった。
「な、何て格好しているのさやかさんっ!?」
 そう、望には相手の今の出で立ちに大いに反応するしか出来ないのであった。
 そんな純粋な彼を見ながら、さやかはその心に実にからかいたくなる加虐心というものが芽生えてしまい、小馬鹿にするようにこう答えたのだ。
「何って、制服に決まってるでしょ? 他の学校の制服だけどね♪」
 こんなさやかののたまいっぷりには、望は思わず閉口してしまうのであった。
 その視覚効果により精神的にノックアウトされた所に精神攻撃と来たものである。
 なので、思わず望はめげそうになるのであった。
 だが、ここで彼は気丈にも気を引き絞る事が出来たのであった。
(よ……しっ! めげるな僕、めげるな僕。ここはちゃんと戦わないと!)
 そう彼は心の中で自分を鼓舞するのであった。しかしやはり、その内容はやはり動揺からくるとんちんかんなものになっていはしたのであるが。
 だが、形はどうあれ、彼は勇気を振り絞って言葉という形に変える事が出来たのである。
「制服なのは分かるけど……、僕が言いたいのはその服の造りなんだよ!」
 そう言って望はさやかに喰って掛かる事に成功したのであった。
 だが、まださやかはあっけらかんとして振る舞う気が満々なようであり。
「それじゃあ言ってみて。この制服のどこがおかしいか?」
「うっ……」
 そう来たか、望はそう思わずにはいられなかったのであった。
『この制服の事を具体的に言葉にさせるか?』。それが論点なのだった。
 だが、ここで彼に奇跡が起こるのであった。一旦思い切ってさやかに喰って掛かった事により、彼には勢いが生まれており、ごく自然とその言葉が出てくるのであった。
「それじゃあ、言うからね!」
 そう言うと彼は一先ず深呼吸をする。ここから一気にまくし立てる為のエネルギーを充填したのである。
 そして、その今の彼の思うがままの事を一気に砲撃の如く放出するのであった。
「はい、まず上がスケスケ。胸当てが無い。スカートは短すぎな上に変な所にスリットが入ってる。そして、そんな状態でいながら下着を着けていないという服の下はすっぽんぽん!!」
「はい、良く言えました~♪」
 ものの見事に的確に指摘してくれた望に、さやかは実にいい心持ちとなってそう労うように言うのであった。
「全く……。授業の先生の質問じゃないんだから……」
 そう言いながら、彼は思わずにはいられない事を更に口にする。
「そもそも、そんなエッチな格好した先生なんていないからね!」
「別に先生じゃないからいいもん☆」
「ぬぅ……」
 やはりのらりくらりとこの観月さやかという少女には論点をことごとくかわされてしまうなと望は改めて思うのであった。
 それも、風俗嬢でもそうそうしないような破廉恥という言葉では収まらないような倫理観に喧嘩を売ったような、女性が着ていれば普通ならば平常心を保てないような召し物を身に纏っている中でなのだから、このさやかという幼馴染にはつくづくいつも舌を巻かされるような心持ちとなってしまうのだ。
 この服装一つだけで混沌の空間を演出出来てしまうアイテムの前に、次に望は一体何を質問すべきかと思案するのであった。
 そして、彼のような繊細な人間特有の、考える際には一点を見てしまうという癖が出てしまったのであるが、状況が状況故にそれは最悪の干渉を彼にもたらしたのであった。
(考えているのに、さやかさんのアソコが目に飛び込んで来た……!)
 そう、彼は下を向きながら考えてしまっていたのであった。その為に、中に下着を着けておらず、スカートとは何という哲学になりそうな産物であるスリットの中から覗く彼女の陰部が否応にも目に飛び込んでしまってきたという事なのである。
 そんな望を見ながら、さやかはますます面白くて仕方がないといった心持ちとなるのであった。
(ふふっ、いい感じの反応してくれるわね♪)
 という具合に、こうしていつまでも望の反応を見ながら楽しむというのも悪くはないという所なのではあるが。
 しかし、それだけではこの通販で手に入れた魅惑のアイテムである制服の無限の可能性というものは引き出せるものではないと、彼女は次なるステップへと向かう事にしたのであった。
「私のアソコが見えて気になっちゃう?」
「……随分直球で言うね?」
 望はそんな恥も外聞もないさやかのそののたまいっぷりには閉口というレベルではないものを感じずにはいられないのであった。
「そりゃあ、直球な気持ちじゃなきゃあ、こんな服は着れないからね☆」
「あはは……、確かにそうだね?」
 身も蓋もないそんなさやかの暴挙に、望はついに反論の意思がポッキリと折られてしまったのだ。
 それでも、彼は取り敢えず聞いておかなければならないと思い、これだけは口にするのであった。
「でもこれだけは言わせてね。そんなとんでもない制服は、一体どこの学校の代物なのかな?」
 その望の疑問は当然のものであろう。どこの学校にこんな風俗嬢でも着ないような制服を着させる場所があるというのだろうだからである。
 その疑問に対して、さやかは丁寧に答えていく事となるのであった。
「それはね……この制服は『聖女学園』という所の物なんだよ?」
「聖女……」
 その言葉を聞いて望は首を傾げてしまうのであった。
 何せ、その単語だけを聞けば、清楚も清楚の集大成とも言えるような響きを持つからであった。
 そんな風に首を傾げる望に対して、その反応は当然だと思いながらさやかは続けていくのだ。
「確かに望がそういう反応をするのも無理は無い事だよね」
「そうだよ。名前だけ聞けば健全の中の健全というイメージなんだし……」
 そう言うと望の疑問はますます自分の胸の内で膨れ上がるような心持ちとなるのであった。
 そして、今度の場合はさやかはそんな望の振る舞いを見ても気の毒に感じるだけだったので、早い所話を進めて行ってしまおうと思い続ける。
「この学校の方針はね、『理想の女性を育てる』というものなんだよね?」
「……」
 その一言に望は絶句してしまった。
 無理もないだろう。このような女性を辱めの極みのような格好をさせておいて、何が理想の女性を育てるというものだろうか、と。
 無言となったそんな望の心境を察してか、さやかはこう後に付け加えるのであった。
「無論、この言葉には裏の意味があるんだよね?」
「……それは」
 余りにもな掲げるものと実態とのギャップがあるこの事実に閉口しかけた口を、望はなけなしの力を振り絞ってそれだけを漏らしたのである。
 そんな懸命な態度を示してくれた望に経緯を籠めて、さやかはその続きを言っていく。
「これはねつまり、『世の男性にとって理想的な女性』を生むというのが真の目的という所なんだよね?」
「う~ん……」
 望は思わずそう間延びした声を漏らしてしまうのであった。
 その理論が余りにも物事を超越したものであったからだ。
 なので、最早彼には反論の余地は無かったのである。『そんな都合のよすぎる』とか『女性を何だと思っている』等の言葉が一応は脳内に浮かんでくるのではあったが、生憎それが彼の口から肉声で出力される事は終ぞ無かったのであった。
 代わりに彼の口からは、こうさやかに聞き返される事となったのだ。
「でも、僕を呼んだのは、ただこの『衣服ではない何か』を着て見せて僕を誘惑するだけが目的じゃないって事だよね?」
 そう望は結論を下すのであった。
 彼の知る所では、この幼馴染の観月さやかという存在は、決して自身の自慢だけで終わるような者ではないからだ。
 そう、彼女の信条は『喜びは皆で享受する』という所に集約されるのである。
 そして、どうやらその彼の読みは正解となったようで。
「中々理解が早いね。そう、この制服は二着購入済みという事だよ☆」