[茨木華扇が紹介]
悪役
[U・N・オーエン]
我等がフランドール・スカーレットのコンセプトの一つになっている『そして誰もいなくなった』の犯人ですね。
その者が誰かというのはこういうのはネタバレにしてはいけないですから読んでからのお楽しみという事で。
ここでは、この者の悪役としてどのようであるかという事に触れていかせてもらいますね。
この者は正義感と殺戮願望という相容れない衝動を持つ人物であり、全盛期には前者を満たす事で成り立っていましたけど、年齢を重ねるに従ってそれが弱くなって後者が勝るようになってしまったという事なのですよね。
そして、その事と病気による死期が迫っていた事が要因となって、本編のインディアン島での殺戮の実行に至ったという事ですね。
その際に、罪の無い者を殺すのは自身の思想に反するという事で法で裁けない罪を持った者達を集めたという訳ですね。
この者が悪役として相当である所には、罪の軽い人間から殺していって、残っていく罪の重い人間により苦痛を与えるようにしたというコキュートスそっくりな加虐心があったというものですね。
そして、私との共通点は私は悪行はしてはいないという違いがあれども、思惑を阻止される事なく最後まで切り抜けたという所にありますね。U・N・オーエンは物語を洗い出すと『完全犯罪』を成し遂げてしまったと言えますからね。
フランドールとの共通点は、『情緒不安定』という所にあるでしょう。オーエンの場合は正義感と殺戮願望という相容れない性質が混じり合っていた訳ですからね。
恐ろしいのは、現実にこういう思考回路の者が痛ましい事件を起こす事が歴史の中で決して少なくないという事ですね。デウスXマキナも自分と無関係でないと感じるという事で怖い思いを抱いているとの事ですね。