[ジョジョアビリティー]
それは、カプコン産の『ジョジョの奇妙な冒険』を取り扱ったゲームに搭載されているシステムですね。
何でも『初心者には優しく、上級者には挑戦する』というコンセプトの元に設けられています。
その狙いは見事に効を然していますね。第三部ジョジョゲーのスーパーストーリーモードは、クリアするだけならそこまで苦労しないゲームバランスでした。格闘ゲームが苦手な私でもクリア出来るのですから。
そして、アビリティーを高得点にするには原作を再現した上で勝つ(時に引き分けになる事も要求されます)ので、その再現に必要な内容によってはかなり高度なテクニックを求められます。
そして、勿論戦いの内容のクオリティーの高さも求められる為、極めようとするとかなり難易度が高くなる訳ですよね。
そのジョジョアビリティーの仕組みと、『東方茨歌仙』の仕様とが似通ったものを持っていると、私は感じる訳ですよね。
と、言うのも、この作品は何も考えずにただ娯楽作品を求めるならば、世知辛い展開もなく、そして主人公たる『茨華仙』(他作品の茨木華扇との区別の為にこう呼びます)の格好よさを満喫出来る事となります。
これがジョジョアビリティーにおける『初心者に優しい』部分と重なります。
しかし、前作の主要人物である綿月依姫の価値を理解してしまっている人はこうはいきません。華仙の思想は主人公でありながら真面目に見えて歪に作られていますので『敵味方関係なく、良いものは良い、悪いものは悪い』という考えを充足させようとするとつまずく事となります。
しかも、華仙に問題がある事は劇中でも現実でも指摘されていないので尚の事です。
(これを確立させる為にZUN氏は華仙の人気を書籍出身で一番に仕立て上げたと考えられるでしょう。人気をある程度操作出来るなんて色々な意味で凄い事です)
これがジョジョアビリティーでいう『上級者への挑戦』になるという事ですね。
これにより依姫の価値が分かる人には、何かをさせようとする力が働く訳ですよね。
そして、上級者に当たる人は自分の作品を立ち上げ、華仙を反面教師にして作品の完成度を上げていく訳です。それがZUN氏が茨歌仙に託した一番の想いでしょう。
(二番には収入源としての役割が来ると思いますが)
私も茨華仙を反面教師にした独自の茨木華扇を構想中です。自作小説の第五章にメインキャラとして登場させる予定であります。
ちなみに、一見真面目に見えて、さらりと酷い考えや言動を示すという描写は太宰治の『女生徒』の主人公を彷彿とさせるのですよね。
茨木華扇はジョセフ・ジョースターのオマージュである事は有名ですので、恐らく『じょせいと』と『じょせふ』を掛けて華仙のコンセプトにしたのでしょう。