雷獣ケーキ

東方を中心に二次創作小説やゲームデータを置いたり、思った事を気ままに書いていきます。

【雑記】早乙女マコトの分岐点

【雑記】早乙女マコトの分岐点
 神無月の巫女の登場人物の一人になりますね。そんな彼女には致命的な問題……というかこのアニメそのものが致命的だった訳ですが。
 彼女は全校の女子高生を率いるイズミからいじめを受けていた姫子を救うという展開で以て主人公的なヒーローの美味しい所をかっさらっていった訳ですね。
 しかし、その助けた後で『私は実は気が小さいんだよね』と謙遜している、頼れるヒーローとしての振る舞うという問題がまずあったのです。
 その後は世界が滅びようとしている中でさえも発端である千歌音の幻影を追いかけているイズミに対して、『姫子と同じ千歌音を愛する者』という意味合いでか姫子の許可なく許すという威風堂々とした立ち位置を確立してしまうに至った訳です。
 このように、彼女はヒーローとしては守る者を蔑ろにした問題の多い人物だったという事です。
 これに対して思う所があった人は色々といますが、二極化したのがZUN氏とサイトウアユム氏の二人だろうという事になりますね。
 まず、前者が至った答えがこれでしょう。『ヒーローが本当にヒーローと言える存在とする為に客観的に描写する』。それが東方儚月抄の主要人物の一人、綿月依姫だっただろうという事です。
 その為に彼は依姫というヒーロー的存在を敢えて敵として描き、それでも立派にその役割を果たしているかというのを描くというのが狙いだったのでしょう。
 それが、レイセンを受け入れるという戦い以外での堅実な行い、そして敵である魔理沙達にもちゃんと最後まで力を出し切って悔いのない戦いをさせて負け癖を付けさせないようにするという配慮までもを見せる事になったのですね。
 対して、後者が至ったのがこれでしょう。『早乙女マコトは主人公でなかったのがいけなく、再びそれを主人公にしてしまえばいいだろう』。この理論から彼女のオマージュ的な主人公であるクロノ・クロフォードがクロの戦記で描かれただろうという事ですね。
 それによって、面倒見のいいクロノの描写を主人公として描くという構図になった訳ですね。
 確かに、社会的弱者である亜人に対して活躍の地位を与えるという堅実な行為は立派です。
 しかし、メタ的な見解になると、地母神に使える少女がその力を発揮出来ない状態を自分の地位を脅かさないで安心出来るものとして実力以下の役職に就かせるというやり方。
 これが、早乙女マコトを描いた監督と同じやり口だろうという事になる訳ですね。
 私のこれまでの経験から、主人公である来栖川姫子のような心の人は、その対価として何か類まれなる才能を持っているというのを何度も見てきました。
 しかし、その姫子は一切そういった才能を開花させる事なく、終始千歌音の引き立て役に甘んじてしまう事となっていたのです。
 それと、サイトウアユム氏は同じ事をやったのだろうというものですね。違うのは主人公がそれに該当するかどうかに過ぎないだろうという事です。
 ですが、『エンターテイメント作品』としてはどうしても東方儚月抄よりもクロの戦記に軍配が上がってしまう事になるでしょう。
 ZUN氏が不利だったのは、早乙女マコトへの疑問符をエンターテイメントで行わないといけなかったという事に過ぎない訳ですね。
 これに関しては、サイトウアユム氏と互いに随筆でも書き合ってもらい、どちらの理論の方が正しいかを第三者に見定めてもらう必要があったと感じますね。