このコーナーを務めるメインコメンテーター。
それは妖怪の山に住まう河童たる河城にとりであった。
「それじゃあ、このコーナーでは『機械』を取り上げて行くよ」
それは、幻想郷の河童とはエンジニアであるが故に機械の取り扱いには長けているからという理由でのチョイスとなるのであった。
それに追従するサポートのコメンテーターとなるのが厄神である鍵山雛なのだ。
「これは楽しみですね。機械と一口に言っても色々ありますから♪」
そう雛が言う通り、ここでは現実の機械から、創作物の装置やら機会仕掛けのキャラクターやらと幅広く紹介して行くからなのである。
「そういう訳。色々な機械が集まりそうだから楽しみにしててね♪」
[河城にとりが紹介]
機械
【№88 ギミックパペット デステニー・レオ】
これはアニメ遊戯王ゼアル及びそこからOCGとして商品化されたエクシーズモンスターなのである。
「いきなりだけど、曰く付きなのが出て来たね……」
そうにとりは面食らってしまう所なのであった。
そう言うのも、これのアニメでの使用者のIVには創作物にあるまじき問題を抱えてしまっているからなのであった。
「まず、ファンサービスという猟奇的至高だよねえ……」
「そうですねぇ……」
これには雛も同意する所なのであった。
ファンサービスとは文面通りであるならば文字通りに自分や自分の作品のファンが好きなものを意識してそれに対して表現で答えるという、やりすぎなければファンを大切にする好ましい試みなのである。
しかし、このIVのそれは意味が違っていたのである。
『対戦相手に希望を持たせ、それを踏みにじる』という異常な加虐的な趣味嗜好なのだ。
「これは彼が復讐に取り憑かれたトロンの命令に逆らえなかったからでは弁明の余地が無い所だよねえ」
彼がシャークを、妹の璃緒にプロリーグ決勝戦にて重傷を負わせて精神的に追い込み、それによって自分のデッキのカンニングを促して反則負けさせる行為はトロンの命令でシャークを闇堕ちさせて眷属にする算段という曲がりなりにも理由があるのであるが。
このファンサービスはそれでは説明が出来ない趣味となっているのでフォロー出来ない所であるのだ。
そして、極め付きにはそれだけの事をしておきながら、事後もシャークにチャンプ復帰のチャンスを与えずに自分がチャンプの座に居座り続けるという、基本倒せば解決に向かう悪役にあるまじき行為までしているのであるのだから。
そのようにこのデッキの使用者には擁護の余地は無いのであるが、ここで雛はフォローを入れる事とするのであった。
「でも、OCGには罪は無い所だと私は思いますね。これは豊姫さんも映姫様も分かってくれる所ではないかしら」
「そうだね、まずデザインが良いからね」
そうにとりが言うように、これは人形でありながら顔が獅子のロボットという昔懐かしいヒーローのような造型をしているのである。
「それから、特殊勝利能力を持っているのも貴重ね」
それから雛が言うように、エグゾディアやウイジヤ盤や終焉のカウントダウンのように、このカードも毎ターン自動消費されるエクシーズ素材(創作物ではオーバーレイと呼ばれるもの)を全て使い切ればその時点でデュエルに勝利が出来るのだ。
「こんな感じで、アニメでの使用者の事を忘れれば実に魅力的なカードに仕上がっているのは疑いようが無い所だね♪」
「そうですね。【ギミック・パペット】の能力は同種がいないと発揮されないものだから専用デッキを組む事になりますけど、所持カードとお金に余裕があったら一つ作っておくのも悪くないと思いますね」
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このコーナーを務めるのが、幻想郷最速の鴉天狗たる射命丸文その者なのであった。
「私の能力は『風を操る』ですからこのコーナーにはピッタリという所でしょう」
そして、サブコメンテーターには彼女の同僚──二次創作で部下にされがちだが──の犬走椛が起用される事となったのである。
「まあ、文さんに対抗しうる風属性の方々をここで紹介していこうという訳ですね」
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「これは、風属性の『魔装機神』ですね」
まずそう文はこの機体の紹介を始めていくのであった。
魔装機神とは、スーパーロボット大戦の一種である『THE LOAD OF ELEMENTAL』の世界観に登場する機体の総称となっているのである。
そこから椛が追従していく。
「確か、これは最初想定していなかった機体なのですよね」
「そういう事ですね」
二人がそう言うように、この機体は当初予定が無かったのである。
そう言うのは、初出となった第二次スーパーロボット大戦ではこの機体では無く『聖戦士ダンバイン』が参戦する予定であったのだ。
しかし、諸事情によってそれが出来なくなったが為に急遽世界観を似せた魔装機神からサイバスターが参戦する事となったという経緯であるのだ。
「しかし、そのダンバインもめでたくスパロボに出る事となったから問題無くなった訳ですね」
「寧ろ、スパロボに追加の作品が出て得だけが生じたという、怪我の功名という事ですね」
そう二人が言うようにこのサイバスターの発足は良い事づくめであったのである……が。
サイバスターのゲームでの扱いは、という所である。
「少々、アニメの方は残念な事になってしまった訳ですね」
そう、『サイバスター』のアニメの事に帰結するのである。
「まず、絵がアニメと大幅に違いましたからね」
椛の言うそれがまず目に付く所なのであった。
そして、ストーリーの方も原作程の盛り上がりが少なく大味になってしまっているのである。
「ですが、アニメ界全体で見ると駄作という訳ではないと思いますね」
「ええ、どれがとは言いませんが致命的な問題点を抱えているアニメと比べれば可が少ないですが言葉にするのも憚られるような不可と言う不可も無いのも事実ですね」
そして、この方向性に対する擁護はこれになるだろう。
「第一、ゲーム原作通りのアニメを完璧に作る事は諸事情によって難しいと言えるでしょう」
「そうですね、でなければとっくに聖剣伝説2やドラゴンクエスト3のアニメ化はなされているでしょうし」
それが結論であろう。何もかも完全にアニメ化してしまっては、原作の立場・需要というものが危ぶまれてしまうのだから。
最後に、このサイバスターのゲームでの性能に触れておこう。
「スパロボαでは、強化版を手に入れないとキツいですが、手に入れれば逆に強力ですね」
強力な武器である『ディスカッター 乱舞の太刀』がエネルギー消費無しで使える等全ての性能が高くなっているのだ。その代わりに必要熟練度が最高というレビ・トーラーを仲間にするのとは別の方向で難易度が高いのであるが。
椛も追従していく。
「α外伝では最初から最高性能になっていますけど、その分乱舞の太刀がエネルギー消費性とか調整されていますね」
その辺りが、α外伝が難易度が高めである一因という事なのである。
しかし、最高難易度でのEDでシュウにサイバスターの搭乗者であるマサキで止めを刺すと専用の台詞が聞け、かつ性能が高い事には変わりないので育てる有力候補の一つである事は間違いない所であろう。
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「久しぶりになるけど、いきなり我等が東方から依姫を出させてもらうよ」
そう言って勇儀はこの人物の紹介を始めるのであった。
「彼女は、結構な強さを持っているねえ」
そう言う萃香は、直接やり合っていないが自分の友人が彼女達とのやり合いで一応は勝ちを取ったがかなり難儀な戦いになった事を思い出す所であったのだ。
「でも、創作物としてはトンデモだったけど、全体を冷静に見る必要があるというものだね」
勇儀がそう呈するように、彼女と姉の豊姫が討たれるべき諸悪の根源などとは違う事を忘れてはいけないという所なのである。
逆に、月の視点から見れば彼女達は自分の星を守る選ばれたヒーローなのであり、この作品の儚月抄には『ヒーロー』というキーワードを暗示する要素が随所に散りばめられているのだ。
そう、彼女らはスーパー戦隊や仮面ライダーのような平和を守るヒーロー以外の何者でもないという事なのである。
しかし、とここで勇儀は付け加えるのであった。
「確かにヒーローと侵略者の視点を逆転させたのが儚月抄だった訳だけど、これは難儀だったという事だね」
そう言う理由は、やはり創作物では自分側が勝つという展開に慣れっこになってしまっているからなのだ。
その辺りは最古の物語である『ギルガメッシュ叙事詩』から5000年の永きに渡って続いている事なので、そう人は自分側が負ける創作物というのには許容出来ない所があるのであった。
そこに萃香が付け加える。
「儚月抄の真にある所は単にヒーローを入れ替えただけではなく、歪んだ愛国心を持つ月人という種族に対して綿月姉妹をヒーローにして戦争の抑止力にするという所にあるからな」
その役割の筋書きを描いて果たした自分の友人に誇らしげに思う萃香なのであった。
そこに勇儀はツッコミを入れる。
「やっぱりお前、第二次月面戦争の招集の時に『理解していないフリ』をしたな?」
その詮索を萃香はのらりくらりと躱して見せるのであった。
「さて、どうだかな?」